注文住宅/トラブル・欠陥住宅・シックハウスを防ぐ対策

住宅トラブルから見る家づくりの心構え

社会の変化と共に住宅トラブルも年々変化してきています。ですがトラブルのほとんどは建て主と工事業者の行き違いによるものです。ではトラブルを未然に防ぐためにはどのような考え方が必要なのでしょうか。

佐川 旭

執筆者:佐川 旭

家を建てるガイド

住宅トラブルも変化している

情報化社会となり探し物や新たな人との出会いなどこれまで考えられないようなおどろきと便利さを感じる現代社会です。住まいづくりに関しても同じようなことが起こり、住宅トラブルにおいても年々変化しています。しかし、これまで受けた相談の中には容易に防ぐことができたのではないかと思われるトラブルが多くありました。

トラブルを未然に防ぐために必要な考え方をシェアしていきましょう。

なぜトラブルが起きるのか

トラブルのほとんどは建て主と工事業者の行き違いによるものです。建て主側は説明を聞いていない、工事業者は説明しました、という具合に『言った』『言わない』の言い合いになります。

仮に何らかのトラブルがあったとします。建て主は2回までなら我慢できる方が多いように感じますが、さすがに3回目以降になると怒り出す傾向にあります。これは日ごろの小さな不満が積み重なったところにトラブルが発生し、不信感を抱いていった結果です。

これらを防ぐには日ごろから両者の間で信頼関係を築く努力が必要です。また、行き違いによるトラブルを避けるためには、工事業者とやりとりしたメールを保存しておいたり、なにか変更がある時などは書面で確認をとることが大切です。

これは、両者が気持ちよく家づくりをする上でとても重要なことで、当然といえば当然なことです。しかしこの当然なことが行われないからトラブルは起きるともいえます。

トラブルといってもさまざま

【施主支給というトラブル
インターネットなどで購入して現物を支給するという方法です。たとえば、キッチンなど給水や排水の伴ったものは穴の位置が違ったり、後々不具合が発生した場合責任はどこにあるのかなど曖昧なところがあります。

こうしたトラブルにならないためにも、現場監督や工事業者の代表者とあらかじめ打ち合せをして明確にしておくことがポイントです。

【イメージの違いによるトラブル】
新築される建物はすべて打合せによって図面がまとまり、それによって工事金額が算出されます。図面はどちらかといえば建物をつくるための図面で完成をイメージしたわかりやすい図面ではありません。

建築設計事務所にお願いした場合、模型や完成予想図などもありますがそれらはあくまでサービスです。それらをみても実際の色とはかけ離れることもあるでしょう。インテリアの色彩などは現場で確認しながら決めていくと、イメージによる違いはかなりなくなると思います。

【職人によるトラブル

現場監督はとても話しやすく気がつくのだが、職人が雑で仕上がりが悪いケースがあります。それは現場監督が若くて職人が高齢だと言いづらかったり、逆に職人が若くて経験不足ということもあるでしょう。

工事業者はいろいろ比べて選べるのですが職人までは選べません。現場での社長は現場監督です。とにかく現場監督に相談することです。建築家が関わっている現場であれば建築家に相談してみるとよいでしょう。建築家が現場にアドバイスをしてくれます。

【お金によるトラブル】
お金によるトラブルで多いのは追加工事です。追加工事の内容をしっかり確認せず、曖昧なままに進めてしまうと、「そんなにお金がかかるとは考えていなかった」という状況になってしまいます。

図面に書かれたこと以外の追加工事に関しては必ず見積もりを出してもらい、その内容を確認してから工事を始めるようにすることでトラブルは防ぐことができます。

【アフターメンテナンストラブル】

これまで述べたトラブルは、もうすでに本やインターネットなどで調べて知っていることかも知れません。上記4つは工事中のトラブルですが、意外と多いトラブルの一つにアフターメンテナンスのトラブルがあります。

メンテナンスは入居後や何年か経った後の事なので、予測しづらいところはあります。しかし、後々嫌な思いをしないためには契約前の確認をしっかりしておくことです。

アフターメンテナンスに関する注意ポイントは5つあります。

  1. 事前説明でメンテナンスの事に関しても確認しておくこと。
  2. メンテナンス基準があるのでそれを明確にしておく。
  3. メンテナンスにかかるお金の話を明確にしておく。
  4. 新築後、別の工務店で小さなリフォーム工事をした場合、その取り合いと責任はどうなるのか確認しておくこと。
  5. 工事完了後のメンテナンス体制などを確認しておくこと。


ガイド佐川旭のアドバイス

トラブルで厄介なのはアフターメンテナンスです。
それは住み始めてからわかることが様々あるからです。工事中はつくっている最中なのでわかりません。とにかく竣工まで自分のイメージ通りに完成できればうれしいもので、家が完成した後の事までは気がまわりません。

一般にアフターサービスの基準は木造であれば構造躯体部分は3年ですが他は1~2年です。したがって、2年以内に大きなひび割れや不具合などが起きなければ、問題ないと考えられます。

トラブルを防ぐために、工事業者には事前の説明義務をはたしてもらい、建て主はその説明を理解し疑問があれば質問し解決しておくこと、その上で基準を明確にし、いつも相談できるような信頼関係をつくっておくことが大切です。

建て主と工事業者の付き合いが本当の意味で始まるのは、住まいが完成してからなのです。


※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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