メタボの基準は男性に厳しい?
メタボ基準は男性に厳しい?
では、なぜ内臓脂肪を問題にするのでしょう?それは、メタボに合併する疾患の大部分が、内臓脂肪蓄積に関与しているという事実があるからなのです。
内臓脂肪による病気のメカニズムが明らかに
内臓脂肪型肥満の場合、内臓脂肪が過剰に蓄積すると、腫大した脂肪細胞から血糖や脂質、血圧などを調整しているホルモン(アディポサイトカイン)が異常をきたし、糖尿病や脂質代謝異常(コレステロール値の異常)、高血圧などが起こることがわかっています。メタボ治療の、カギ分子も発見されてきました。東京医科歯科大学大学院の菅波孝祥特任教授と小川佳宏教授の研究グループが、「ミンクル」と呼ばれる病原体センサー分子が、肥満に伴う脂肪組織の線維化を促進させる鍵となる分子であり、脂肪肝や糖尿病の促進因子であることを突き止めました。これは、2014年9月19日付の英オンライン科学誌Nature Communicationsに発表されています。
「日本人は軽い肥満でも要注意!」の理由とは
アメリカでは、BMI(body mass inndex:体重(kg)÷身長(m)の2乗)が30以上の肥満が33%もいて、実に日本の10倍にも及びます。しかし、驚くことに、生活習慣病といわれる高血圧、高コレステロール血症、糖尿病などの有病率は日本とアメリカで大きな変わりはないのです。肥満にも人種の違いがあります
日本人は特に皮下脂肪より内臓脂肪を蓄積しやすく、肥満の程度が軽いにも関わらず、肥満に起因する疾患が起こりやすくなっています。以上のような理由から、肥満に対しては欧米より厳しい基準がとられ、日本ではBMIが25以上が肥満とされているのです。
肥満とともに急増している脂肪肝
生活習慣の欧米化を背景とした肥満人口の急増に伴い、肥満を基盤とする非アルコール性脂肪性肝疾患(nonalcoholic fatty liver;NAFLD)も急増しています。日本におけるNAFLDの有病率は約10~40%と高く、肥満度に比較して欧米人より内臓障害をきたしやすい人種とされています。NAFLDのうち約10~20%が、肝硬変や肝細胞がんへ進行し得る非アルコール性脂肪性肝炎(nonalcoholic steatohepatitis;NASH)とされています。
現在、肝細胞がんの大半はC型肝炎ウイルス由来ですが、現在開発されている新薬により、今後C型肝炎ウイルスは完治する病気になると考えられています。これからは、NAFLD/NASHが、肝硬変や肝細胞がんの主要な原因になっていくでしょう。
脂肪肝の治療法は食事と運動
メタボには食事と運動療法が有効です!
体重コントロールは標準体重を目標とするのではなく、現体重の3~5%の減量が推奨されています。特定健診・保健指導の実績から、3%の減量でも、脂質、血圧、肝機能などの改善があることが示されています。
まず、3~6カ月で3%の体重減少を目指し、3%減少しても検査成績などが改善しない場合は、さらに3%減を試みてみるのがいいでしょう。