ことばはなくてもコミュニケーションは成り立つ
赤ちゃんはことばが通じないからこそ、全身全霊でノンバーバルにコミュニケーションをとろうとする
人と人とのコミュニケーションでは、実に9割以上をことば以外の要素で伝達しているという実験結果もあります。ことば以外の伝達方法とは、表情、しぐさ、姿勢、スキンシップなどです。このようなことばを使わない意思伝達は心理学用語ではノンバーバル(非言語)コミュニケーションと呼ばれています。
さて、今回はパパのための恋愛指南、ではなくて、赤ちゃんとのコミュニケーションについてです。「まだことばも分からなくて、コミュニケーションのとりようがないからさ……」とぼやくパパも多いですよね。でも、赤ちゃんはことばが通じないからこそ、全身全霊でノンバーバルにコミュニケーションをとろうとしています。
不満があれば泣く、うれしければ笑う。悲しければ縮こまり、楽しければ手足をばたつかせて喜びます。そんなときにパパが知らん顔をしていたら、赤ちゃんはどう感じるでしょうか。「この人はわかっちゃくれない(怒)」とパパに期待するのをやめ、無視するようになるでしょう。「ママばかりになついて僕にはなついてくれないんだ」と嘆くパパの多くはこの状態になってしまっていると考えられます。
将来子供を“KY”にしないために
でも、もし、パパが赤ちゃんのしぐさ、表情、ことばにならない声に注意を払い、赤ちゃんがうれしそうなときにはうれしそうな表情を見せ、悲しそうなときにはいっしょに悲しそうな顔をしてやさしく抱き上げてあげていれば、パパの思いが赤ちゃんに伝わります。赤ちゃんとしても“わかってもらえた”喜びを感じているはずです。また、子供がもう少し大きくなって、「イヤだ!」や「キライ!」を連発するようになったとき、ことばの意味だけを捉えていてはらちが明きません。幼児が限られた語彙を使って本当は何を伝えようとしているのかは、ノンバーバルに意識を向けないと理解できません。赤ちゃんのうちからことばに頼らないコミュニケーション能力を親子ともに伸ばしていれば、ことばを発するようになってからのコミュニケーションもよりスムーズで中身の濃いものになるはずです。ひいては「場の空気を読む力」とは、ほかならぬノンバーバルメッセージを読み取る力と言えるのではないでしょうか。将来KYになってほしくなかったら、0歳のうちからパパがノンバーバルコミュニケーションしてあげることです。
と、赤ちゃんとのやりとりで磨いたノンバーバルコミュニケーションスキルをママにも使ってみてこそ、男の育児の一石二鳥。「あっ、イライラしてる……」とか「あっ、怒ってる……」と気付いたら、そそくさと子供を連れて避難しましょう。背中を丸めて「降参です。攻撃しないでください(涙)」というメッセージを全身で発しながら逃げ、子供ともども難を逃れることができれば、あなたはノンバーバルコミュニケーションの達人の域に達したといえるでしょう。