この世の中に、「動物病院が大好き」という猫は存在するでしょうか?

基本的に、猫は警戒心が強く、見知らぬ人や場所を嫌う動物。昔から犬は人につき、猫は場所につくなどと言われるように、猫は見慣れないもの、自分のニオイが付いていない知らない場所などが大の苦手。毎日顔を合わせている同居人でさえ、よそ行きのドレスを着たり帽子を被るなど、いつもと違う格好をすると、「アナタ、ダレデスカァ~~!」とパニックを起こしかねないデリケートな動物なのです。

そんな猫を動物病院に連れて行くのは至難の業で、一度でも病院で不愉快な思いをした猫は、人からしたら、病気を治してもらったとか、病気にかからないようにワクチンを打ってもらうとか感謝すべき場所ですが、そんな理屈は通用しません。だから、「病院、行くよ」などと声をかけてキャリーバッグを引っ張り出してきた時点で、猫は雲隠れしちゃうか、キャリーには入りたくないと大暴れするでしょう。

そんなわけで、どんなに熱心に説得しても、猫に動物病院を好きになってもらうのはなかなか難しいですが、最近はそんな猫のストレスを減らす取り組みを行っている猫に優しい動物病院が増えてきています。

今回はこの“猫に優しい病院:キャット・フレンドリー・クリニック”として、日本で最初の認定を受けた「猫専門病院 東京猫医療センター」院長の服部幸獣医師にお話を伺ってきました。そこでわかったことは、猫にストレスをかけないよう配慮されている猫に優しい病院は、飼い主(同居人)にも優しいということ。
服部undefined幸(Yuki Hattori)院長

服部 幸(Yuki Hattori)院長



「猫に優しい病院:キャット・フレンドリー・クリニック」

“猫に優しい病院:キャット・フレンドリー・クリニック”とは、イギリスに本部をおくISFM (international society of feline medicine):国際猫医学会が設定し、提言している「環境と診療による猫へのストレスを最低限にするための動物病院」のガイドラインで、キャットフレンドリー病院の認定も行なっています。今回お話を伺った東京猫医療センターは、2013年に、アジアでは2件目、日本で最初のゴールドレベル認定を受けました。

キャットフレンドリークリニックのガイドラインには次のようなことが挙げられています。

  • 犬など他の動物と一緒にならないように、待合室をわけるか、猫専用の外来時間を設ける。
  • 診察室では猫の不安を軽減させるために、フェロモン製剤を利用するなどして、安心できる雰囲気をつくる。
  • 診察中は猫と直接目を合わせないようにしたり、猫を不安にさせる人や物が視界に入らないようにする。
  • キャリーケースの中の猫を布で覆ったり、飼い主のひざの上など、猫が安心できる場所で診察を行う。
  • 入院室などの環境は、猫の習性に合わせて整える。

など、猫に優しい環境、猫との暮らしに通じる考え方を実践することが、猫に優しい病院:キャット・フレンドリー・クリニックの基本理念です。
東京猫医療センターundefined待合室

東京猫医療センター 待合室




猫に優しい病院のスタッフに求められることとは?

病院で働くスタッフには、どんなことが要求されるでしょうか。
服部院長に伺ってみました。

服部院長:一番重要なことは、猫という動物を知ることです。
スタッフは、猫という動物の生態や習性、心理、行動を正しく理解し、品種による違いや特徴、キャラクター、そして診察する猫の性格(個性)を把握し理解します。病院内では、大きな動作を避け、猫だけでなく人に対しても静かに穏やかな会話を心がけ、猫の目を見つめない、瞬きをしない、猫が威嚇するときに発する音に近いシィーッなどの擬音を使わないようにします。また、猫が嫌うので香水などはつけません。

スタッフは、心から猫を歓迎し、獣医師と看護師がペアを組み、その猫の専任従事者として治療に当たります。

病院設備などハード面では

服部院長:一番求められることは、待合室や診療室、入院室は、犬と接触しなくてすむスペースがあることです。東京猫医療センターは、猫専門の動物病院なので、犬が来ることはありませんが、一般の動物病院で、完全に犬と猫を分けることが難しい場合は、犬と猫の診療時間帯を分けたり、パーティションで待合室を仕切るなど、工夫次第で猫向けの環境を確保するようにします。

入院スペースは下の段ではなく上の段に用意して、可能であれば猫が上下運動できる空間を作るようにし、温度・湿度を猫に合わせ管理します。猫砂やトイレなどは、猫が自宅で使っているものとできるだけ同じものを用意します。
病院でもこんな風にリラックスしたいね

病院でもこんな風にリラックスしたいね


家庭でもできること

病院に行くことを嫌がる猫が多いと思いますが、家庭で何かできることはありますか?

服部院長:日頃、猫が居住しているスペースにキャリーケースを置き、キャリーケースを猫のベッドにしたり、キャリーケースの中でご飯を与えたりして、キャリーケース自体に慣れさせておきましょう。キャリーケースは、猫が診療を受けやすいように、前後左右だけでなく上も開き、フタは取り外しがきくスタイルがお勧めです。

ペロペロしてるときは気分を落ち着けたいとき

ペロペロしてるときは気分を落ち着けたいとき


このように、猫に対してさまざまな配慮があっても、それがそのまま猫に伝わるかどうかはわかりません。猫は猫ですから(笑)。でも猫に優しい・猫に対する配慮がなされていることは、誰よりも飼い主さんに伝わります。それが飼い主さんを安心させ、病院に連れて行かなければいけないという重荷を少し軽くしてくれるでしょう。それは確実に愛猫に伝わります。飼い主さんが安心して、落ち着くことが、実は猫に優しい病院の一番の狙いではないかなと今回の取材を通じて感じました。

大切な家族だから、病気やケガで苦しむ姿を見たくないし、長生きして欲しい、そのためには病院で治療してもらわなければなりません。同じ治療をしてもらうのであれば、猫のことを理解してくれる病院・先生にお願いしたいと思いませんか?

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服部 幸(Yuki Hattori)院長 経歴
北里大学獣医学部卒業
2年半の動物病院勤務
2005年よりSyuSyu CAT Clinic 院長を務める
2006年にアメリカのテキサス州にある猫専門病院 Alamo Feline Health Centerにて研修プログラム修了。
2012年東京猫医療センターを開院する
9年間、猫の専門医療に携わる。


参考リンク:東京猫医療センター


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※ペットは、種類や体格(体重、サイズ、成長)などにより個体差があります。記事内容は全ての個体へ一様に当てはまるわけではありません。