暴力団対策法をもとに指定される暴力団の種類は3つある
指定暴力団は厳しい規制のもとに
暴力団対策法では、みかじめ料や用心棒代の請求などを行った指定暴力団員等に対して、行政的な措置により規制ができることになっていますが、その規制がかかる暴力団が「指定暴力団」に該当するのです。
指定暴力団には3つの種類があります。今回はそれらが一体どう違うのか、解説していきたいと思います。
危険指定と抗争指定は特に厳しい懲罰が
指定暴力団には、「指定暴力団」、「特定抗争指定暴力団」、「特定危険指定暴力団」があります。いずれも公安委員会が指定するものです。「指定暴力団」は、暴力団対策法に定める要件に該当する暴力団であり、集団的にまたは常習的に暴力的不法行為を行うことを助長するおそれが大きい暴力団が該当します。暴力団対策法では、指定暴力団に所属する構成員(指定暴力団員)に対して、一定の行為を行うことを禁止しています。一方、「特定抗争指定暴力団」は、危険な対立抗争事件を繰り返す暴力団が該当します。公安委員会が定めた警戒区域内で事務所を新設したり、組員や関係者が事務所に立ち入った場合には即座に逮捕されることになります。また、組員が抗争相手の事務所や住居近くをうろついたり、5人以上で集まるといった行動をした場合も即座に逮捕されることになります。
また「特定危険指定暴力団」は、危険な不当要求行為を繰り返す指定暴力団が該当します。これも公安委員会が定めた警戒区域内で、企業や市民に不当な要求(例:みかじめ料など)を行った場合には、警察は即座に逮捕することができるようになっています。また、不当要求を目的に面会を求めることも禁止されています。
このように、特に「特定抗争指定暴力団」と「特定危険指定暴力団」の指定には厳しい懲罰を課し、市民の安全を守る仕組みが構築されています。
指定暴力団は福岡県に多い
以上、指定暴力団の違いについてみてきました。指定暴力団は2014年10月現在21団体が指定されており、中でも福岡県に5団体存在し、最多となっています。危険度が高く九州地方の暴力団封じ込めを狙って、2012年12月27日に五代目工藤會が特定危険指定暴力団に、道仁会と九州誠道会(現在は浪川睦会)が特定抗争指定暴力団に指定されています。なお、道仁会と浪川睦会の特定抗争指定暴力団の指定は2014年6月27日に解除されています。今後もこうした特定危険指定暴力団や特定抗争指定暴力団への指定が行われることがでてくることもあるかもしれません。厳しい措置により安全で住みよい社会が持続することを切に願います。