過多月経とは

女性研究員

月経は女性の健康のバロメーター。経血量や周期のみだれ、月経痛などから思わぬ病気がみつかることもあります

他の人と比べて経血量が多いか、少ないかというのはわかりにくいものです。最も多い日でもナプキンを2時間おきにかえるくらいが一般的ですが、経血量が非常に多く、ふだんの生活に支障をきたすような場合を「過多月経」といいます。ナプキンが1時間もたないほど経血量が多い、経血のなかにレバーのような血のかたまりがある、などの症状がある場合は「過多月経」がうたがわれます。過多月経については、「どこからが過多月経? 月経血の正常・異常の見分け方」にて詳しく解説しています。

過多月経になると経血量が多くなるため貧血をになることが多く、めまいや立ちくらみ、疲れやすいなどの症状があらわれます。原因として子宮の病気がある場合と、原因となる病気がなく、体内のホルモンや血液の状態が影響している場合とがあります。原因となる子宮の病気には、子宮筋腫、子宮腺筋症などがあり、生殖年齢女性に多くみられます。

過多月経の治療法・ミレーナとは

ミレーナは「子宮内黄体ホルモン放出システム」というもので、子宮の中に挿入する避妊リングとしてフィンランドで開発され、2014年現在、現在、既に世界では130カ国以上で、のべ2000万人を越える女性が使用しています。ヨーロッパ諸国では、以前から子宮内膜症や子宮腺筋症に保険適応となっていたもので、日本でも2014年9月から過多月経の治療として保険適用になりました。すでに、2007年から日本に導入されており、避妊リングとして自由診療で使用されてきました。

ミレーナの特徴は、従来の避妊リングと異なり薬剤添加により、避妊効果を発揮することです。つまり、子宮の中に挿入しておくと、極少量ずつ、レボノルゲストレルという低用量ピルに含まれるホルモンが、ゆっくりと5年間放出されてゆき、子宮内膜を薄くして妊娠を妨ぐのです。また、この子宮内膜を薄くするという効果が注目され、子宮内膜増殖症や子宮内膜症、子宮腺筋症といった病気への応用が期待されています。最近では、避妊薬の低用量ピルが子宮内膜症や過多月経の治療に使われているのですが、ミレーナも上手く応用していけるツールとして期待されます。

ミレーナのメリット…副作用の少なさ、避妊率の高さも

ミレーナは子宮内にのみホルモン作用があるので、血液中にはほとんどホルモンが入りません。ピルで気になるむくみ、吐き気、頭痛等の副作用が出にくくなっています。 また、黄体ホルモン単剤なので、ピルで心配されている血栓症のリスクもなく、高血圧の方、肥満傾向の方、喫煙している方に使用しやすいという点がメリットです。また、毎日服用するわずわらしさもありません。一度装着をすると5年間有効であり、最初の1年以内にほとんど出血がなくなり、10人に2人の人は生理の出血自体がなくなるといわれています。生理痛が軽くなり、生理のわずわらしさからも解放されます。ただし、出血が無いだけで、生理を起こすような性周期は体の中で保たれます。排卵も起こりますが、着床に必要な、子宮内膜が薄くなるため、妊娠しません。避妊率は99.9%で、ピルのように飲み忘れによる失敗もありません。

5年間有効ではありますが、妊娠を希望することになったら除去することにより、すぐ妊娠することが可能です。当然、妊娠や胎児に影響はありません。

ミレーナのデメリット…初期の断続的な出血と挿入時の痛み

最初の1~3ヶ月は断続的に出血が続きます。その量もひとそれぞれですが、これは薬剤の効果なので心配はいりません。また、子宮内部のかたちのゆがみや変形があると脱出してしまうことがあります。挿入時は軽い痛みを伴うことが予想されます。

ミレーナの装着方法・産婦人科外来での挿入・痛み

ミレーナは産婦人科の外来で、子宮の中に挿入してもらいます。従来の避妊リングと同じく、麻酔などは基本的には行いません。外来で、5分くらいで挿入が終わりますが、子宮の中に挿入するときは、多少痛みが伴います。子宮の入り口を把持するときに引っ張られる感じがあり、その後子宮にミレーナを入れるときに痛みます。痛みは人によってさまざまですが、痛みを感じる時間は数秒です。

ミレーナ以外の過多月経の治療法

■偽閉経療法
薬剤性更年期をつくり、生理をなくす治療法です。生理を止めてしまうので、過多月経による貧血は改善され、また子宮筋腫は一時的に縮小することが知られています。子宮腺筋症や子宮内膜症は生理がくるたびに悪化する疾患なので、生理をとめることで軽快します。ただし、6ヶ月以上の継続治療ができないのと、使用すると2~3ヶ月で更年期症状(ほてり・動悸・不眠・うつ症状・骨塩量の低下など)が出現することがデメリットです。閉経が近い方が逃げ込み療法として使用するのに適している方法です。

■低用量ピル・超低用量ピル
ピルにもミレーナと同じホルモンが配合されています。効果も同様、子宮内膜を退縮させ、月経血量を減らすことができます。ミレーナとの違いは血液中にホルモンの濃度がある程度、上昇するので、喫煙習慣や糖尿病など血栓傾向を伴いやすい背景のある方は、使用を控えたほうがよいという点です。また、毎日だいたい決まった時間に服用しなくてはならないので、飲み忘れやドロップアウトなどによってせっかくの薬効が充分得られないことが問題点です。

■第4世代のプロゲストン
平成20年、子宮内膜症の治療薬として認可された「ディナゲスト」です。男性ホルモン作用が全くなく、子宮腺筋症や子宮内膜症の治療薬として、長期間使用することができます。治療を開始すると、約8週間くらいをピークに不正出血してくるという副作用があります。非常に期待される治療法です。

■手術療法
現在、婦人科領域の腹腔鏡下手術は目覚しく発達し、負担の少ない手術として頻繁に行われるようになってきました。完全に治すという意味では、手術療法がもっとも当てはまると思われます。子宮筋腫核出術や子宮腺筋腫切除術など子宮を温存する術式から、子宮全摘出術まで、症状やライフスタイルにあわせて術式が決定されます。

ミレーナ導入に際して

海外では、過多月経やその他の疾患に対して臨床応用され、たくさんの論文が報告されていますが、日本では、これまで避妊器具として自由診療の範囲で使用されてきました。まだ日本では保険適応されたばかりで、情報が少ないのが現状です。避妊器具としてはもちろんのこと、その内膜退縮作用により、過多月経を解消し、月経困難症を軽減できるのはとても魅力的ですが、やはり副作用や使用感など、主観的な評価の情報が十分ではありません。そして、どこまで効果があるのか、他の治療法と比較してどうか、今後検討されていくと思われます。また、ミレーナは挿入すると5年間のお付き合いになります。不正出血や腹痛などのトラブルがおこることもあります。心配な症状があったら、必ず主治医の先生に相談しましょう。
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