グランシャリオで朝食、そして終点・上野へ
6時半に「ハイケンスのセレナーデ」のチャイムが車内に響き、車掌が朝の挨拶をし、それと前後して食堂車がオープンした。あっという間に満席になってしまったので、まさに「早起きは3文の得」だった。朝食は予約制ではなく、早い者勝ち、メニューは和朝食と洋朝食の2つだけ。食べ慣れている洋食にした。卵料理、ハム、ソーセージ、サラダ、パンとドリンクといった普通のメニューだったが、夕張メロンのゼリーがサービスで付いていたのが北海道の列車らしい。列車は日が高くなるにしたがって南下し、交流と直流電化区間の境界となる黒磯駅を通過すれば、首都圏ではお馴染の電車や電気機関車が目に入り、鉄道情景が日常的なものとなってくる。小山を通過し大宮が近づくと、都心へ向かう電車を待つ通勤通学客の目の前を走り抜ける。のんびりとホームを眺めると、少々優越感に浸れ、気持ちよいのだが、残念ながらもうすぐ終点で、降りれば普段の日常生活が待っている。
札幌を出てほぼ16時間30分、列車は定刻に上野駅13番線に到着した。長いようであっけなかった乗車は、変化に富んで退屈しない非日常の旅だった。寝台列車は鉄道旅行の醍醐味を存分に味わえる貴重な存在である。久しぶりだったけれど、乗ってよかったと改めて思った。