函館で機関車交代の「儀式」
食事が終わり一息ついた頃、列車は函館に到着した。11分停車する間に、先頭のディーゼル機関車が切り離され、一方、最後尾にはED79形電気機関車が近づいてきて連結される。ここから進行方向が変わると同時に、青函トンネル通過専用の機関車に交代したのだ。函館から乗ってくる人もいて、この後は、深夜の運転士交代のための運転停車(ドアは開かない)を除くと、早朝の仙台までノンストップである。シャワー室を体験
函館を出ると、いったん進んできた線路を一駅先の五稜郭まで戻り、それから津軽海峡線へと駒を進める。青函トンネルに近づく頃、予約しておいたシャワーの時間がやってきたので、6号車のシャワー室へ。前の利用者が出てきたので、しばらくして中へ入ってドアを閉める。脱衣場にシャワーカードを挿入する機械があり、鍵がかかっていることを確認して準備OKとなる。シャワー室のお湯が出るのは6分のみ。出しっぱなしだとすぐに出なくなるので、シャンプーや石鹸を使いつつ、こまめにお湯を止めたり出したりを繰り返す。そうすると意外に6分は長く感じる。ラスト1分となると「警告ブザー」が鳴るので、あとは余裕を持って使う。体を洗うだけなら6分は十分すぎる長さである。
青函トンネルを抜け、深夜の東北路を快走
シャワー利用を終え、寝台に戻ると、いつしか列車は青函トンネルを抜けて北海道に別れを告げ、青森県内を走っていた。青森駅では、もう一度進行方向が変わり、出発すると、札幌を出た時と同じ方向に進む。電気機関車も最新鋭のEF510形に交代し、この編成で終点の上野を目指す。やはりディーゼル機関車よりも速く、揺れも少なくなり、滑るように深夜の東北路を快走する。単調な「カタンコトン」という音がスローテンポとなり、眠りが浅くなったところで、そっとカーテンを少し開けると盛岡の表示が見えた。その後、すぐに横になり、ときたま浅い眠りの時にまた「カタンコトン」というリズムが心地よく響く。
早朝、ドアが開く音で仙台停車を何となく知り、再びまどろんだ後、列車がスピードを落としたのを機にカーテンを開けると、夜明けの車窓で福島駅に近づいているのがわかった。午前5時53分、福島着。皆が起きだして混まないうちにトイレと洗面を済ませ、着替えてロビー室へ。空いているかとおもいきや、すでに何人もの乗客が寛いでいた。
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