住友商事<8053>の巨額減損損失計上が示唆するもの
住友商事<8053>が巨額減損損失を計上。それが示唆するものとは!?
その原因は各国で進める資源プロジェクトの巨額減損損失の計上にあります。具体的には米国のシェールオイル開発資産から1700億円、豪州石炭事業で300億円、ブラジル鉄鉱石事業で500億円などの減損損失です。シェールオイルに関しては、地下に大量に採り出せると思っていた原油がなかった、或いは採り出す費用が莫大でプロジェクトを進行できないという理由があるのかもしれず、経営的な見込み違いの面もあると思います。一方、豪州やブラジルの資源資産の損失に関しては、ただ単に資源価格の急落が影響して減損を余儀なくされたものと思われます。
資源価格が大幅下落。根本的な原因はドル高にあり
資源価格は6月までの好調が嘘のように7月以降急落しています。欧州の景気減速、中国の需要減速、米国の大量供給といった需給要因もありますが、貴金属、農産物を含めてほぼ全面安となってところを見ると、大きな要因の1つにはドル高があると思います。資源価格はドルで取引されますので、ドルの価値が上がれば、理論上(需給変化がない限り)資源価格は相対的に下がります。上のチャートは、ドルと商品総合先物指数(CRB)、金価格の推移比較ですが、7月以降のドル上昇に呼応するように商品価格が下がっていることがわかります。商品総合指数は19種の資源価格で構成されますが、原油の比重が一番大きくなります。金価格についてはドル安の時代に呼応して長年上がってきたものであり、ここで本格的なドル上昇が進展すれば、金の時代はひとまず終わりということになります。金価格についてはすでに平均的な鉱山の採掘コストに近いところまで下がっており、今よりも下がると今後、採算割れから閉山が相次ぐ可能性があり、1990年代と似た状況に陥る恐れもあります。
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