上場株式との損益通算が可能になる
2016年1月1日から債券の課税関係は、国内債券、外国債券共に上場株式と同じ扱いになることから、2016年1月1日以降に購入した債券は特定口座に入れることができるようになります。ただし、証券会社によって取扱い日時等が異なるケースがあります。あくまでも2016年1月1日以降に購入した債券だけが特定口座に入れることができるのであって、2015年12月31日までに購入した債券は特定口座に入れることは出来ません。
上場株式と課税関係が同じになることから、2016年1月1日以降には、債券と上場株式等との損益通算が可能になります。たとえば、債券の利子と上場株式やETFなどの売却損、債券の売却損と上場株式の配当金や株式投資信託の普通分配金のような損益通算が可能になります。
特定口座に入れることが出来るのは、2016年1月1日以降に購入した債券になりますが、2015年12月31日までに購入した債券であっても、上場株式等との損益通算は2016年1月1日以降可能になります。ただし、確定申告が必要になります。
ゼロ・クーポン債は注意が必要
2016年1月1日からの債券の課税関係の変更ですが、既に債券を保有している人、中でもゼロ・クーポン債を保有している人は注意が必要になります。ゼロ・クーポン債は市場金利の動きよって価格が変動しますが、満期償還が近づくほど額面金額に近づいて行くことになります。このためゼロ・クーポン債を満期償還時まで保有するより、満期償還の1ヶ月前後前に売却した方が課税関係上有利になるのです。先に述べたようにゼロ・クーポン債の売却益は譲渡所得で総合課税になりますが、譲渡所得には50万円の特別控除があるのです。つまり、満期償還前に売却し、かつ売却益を50万円以下にすれば実質非課税になるのです。
ところが、ゼロ・クーポン債を満期償還時まで保有すると雑所得で総合課税扱いになってしまうのです。雑所得には譲渡所得のような特別控除はありませんから、償還差益全額が課税の対象になってしまうのです。
セロ・クーポン債を既に保有している人で、譲渡所得の特別控除を利用しようと考えているのであれば、タイムリミットは2015年12月31日までになりますので注意してください。
なお、譲渡所得の特別控除50万円は、年間50万円であって1取引あたりではありません。また、文中の税率は復興特別所得税を考慮していません。