資産運用/資産運用をするときの鉄則

投資家のビギナーズラックはなぜ起きる?

投資においてビギナーズラックがなぜ起きるか?そのワケを知って、投資の教訓としてください。投資は科学ではありませんが、人間もコンピューターとは程遠い泥臭い生き物なんです。

北川 邦弘

執筆者:北川 邦弘

はじめての資産運用ガイド

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何人かで競馬やパチンコなどのギャンブルをしたときに、「今日が始めて」というビギナーに限って、勝ったりします。あるいは初心者ほど勝ちやすいと思われています。まあ、世間ではこれを「ビギナーズラック(初心者の幸運)」と呼ぶわけですが、これには必然のワケがあります。

ギャンブルの基本は勝率5割

ギャンブルにはいろいろな種類がありますが、ここでは話を簡単にするために、裏表を当てるコイン・トスや丁半サイコロをご想像ください。これらのゲームで勝つ確率は、間違いなく5割です。勝つか負けるか、その確率は五分五分です。そして、1回ごとの勝率は、何回繰り返そうとも5割です。

こんなクイズにひっかかった経験はありませんか?

コイン投げで9回続けて表がでました。さて、6回目に表が出る確率と裏がでる確率はどちらが高い?

人情としては、つい「もう裏が出てもいい頃だろう」と思ってしまうのですが、正解は「同じ確率」です。つまり、どんな偏った結果が出ているときでも、1回ごとの確率は過去の結果の影響をまったく受けないのです。

ところで、表が出続ける確率となると、話はまったく違う様相を呈してきます。つまり、確率の教科書に書いてあることは、5割の勝率のゲームで勝ち続ける確率は0.5のn乗だというのです。
  • 最初に表が出る確率は 0.5
  • 2回目に表が出る確率は 0.5 X 0.5 = 0.25
  • 3回目に表が出る確率は 0.5 X 0.5 X 0.5 =0.125
  • 10回目にも表が出る確率は 0.5の10乗=0.001
こうして確率は限りなくゼロに近づいていきます。つまり、最後は必ず負けるのです。勝率5割のゲームをこう考えると、初回こそ勝つ確率が一番高いことが分かります。違う言い方をすれが、「ビギナーは勝つ確率が一番高い」となります。

平均的な勝ち方をしてきた人(ベテラン)と比べれば、ビギナーが勝ちやすいのは確率論からいって当然というワケ。もちろん、1回目に負けて2回目に勝つビギナーも同じくらいいるわけです。

確率から学ぶべき教訓

こんなギャンブルの確率の話が、資産運用のノウハウとどんな関係があるんだい!と疑問を持たれそうですが、以下のようなことを理解するには役立つはずです。
  • ギャンブル投資はやればやるほど負けがこむ
  • どんな習熟しても、勝率が上がるとは限らない(だから、麻雀はギャンブルではありません)。
  • 資産運用では収益率(オッズ)よりも確率を重視しべし
  • 負けたくない人は勝負をしないことが一番
心理学的には、ビギナーズラックという幻想がなぜ起きるのか?という解説もあります。それは、勝者はそのラッキーを永く記憶にとどめ、敗者はその不運をすぐに忘れるからだという理屈です。

人間とは、とかくそのようにいい加減な生き物です。欲望におぼれ、恐怖心におののいて、感情に突き動かされれば、人は必ず失敗します。だから、お金は怖ろしい面を持っているのです。

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