家計簿・家計管理/家計管理の基本

老後は年金はあてにせず貯蓄をすべき?

公的年金が今後どうなっていくか想定したうえで、自分自身と老後の家計のためにできること・やるべきことは何かを考えてみましょう。「自分年金」として個人年金や終身保険等の積立型の保険、個人型確定拠出年金「iDeCo」の活用、「つみたてNISA」などで資産運用しておくなど、老後のお金を国に依存するのではなく、自分で老後貯蓄を増やしていくことはできます。

二宮 清子

執筆者:二宮 清子

家計簿・家計管理ガイド

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今後の年金を予想した上でマネープランを考える

自分の老後は、年金はもらえないのではないか?と、漠然と不安を抱えているは多いと思います。また、平均寿命が延び、少子高齢化が進むなどで年金の財源に不安を感じる人もいるのではないでしょうか。

公的年金の収支状況は2002年頃から毎年、収入より支出が上回り、積立金が減り続けている状況です。しかし、消費税を増税するなど国庫負担(税金投入)の割合を増やすことや、年金保険料の増額、公的年金の支払額を引き下げることで、年金の積立額の健全性を図っています。

今後、年金制度がどうなるか、私は以下のように想定しています。

■1~3割程度、年金受給額が下がるであろう
■年金受給年齢は現在の65歳から68歳位に引き上げられる可能性


上記のようなことも踏まえて老後のマネープランを考えていきましょう。

私が相談を受ける50代以上の方の中で、老後が「比較的安泰」だと感じる方の特徴は以下のようなものが挙げられます。
 
老後が安泰な人が取り入れている対策は?

老後が安泰な人は、どんな対策をしている?

 

企業年金制度の恩恵を受けている

現在でこそ、企業年金の多くが確定拠出年金制度に移行され、自分の老後資金は自分で運用しようというスタンスになっていますが、50代後半の方は、景気が良かった頃の利率の良い企業年金の恩恵を受けている方がいらっしゃいます。
 

2本以上の個人年金に若い頃から加入している

ご夫婦それぞれで個人年金に加入しているなど、2本以上の個人年金に若い頃から加入しているケースも多いです。若い頃に加入しているので、利率も良いのが特徴です。
 

60歳以降も働ける能力や技術を持っている

「失われた20年」という言葉がありますが、バブル崩壊後、終身雇用制度が崩壊し、それぞれの企業で給与の決まり方・働き方が多様になっています。

その変化に対応しようと、企業に依存せず、スキルアップや稼ぐ術を身に付けた方は、「定年退職」という概念が無いため、自分が働きたい時まで働く、そしてお金を得るという選択肢を持っています。こういう人は60歳以降も収入面の不安はぐっと減ります。

このように人生の先輩を拝見していますと、自分が持つべきものが見えてきます。ただ、時代は変化していますので、これからの時代に老後に備えるマネープランを考えてみましょう。
 

自分年金の作り方を考える

勤務先でできること
・財形年金の活用
・確定拠出年金の活用
・厚生年金基金

勤務先が上記のような「財形制度・確定拠出年金制度・厚生年金基金」といった制度を取り入れているか調べてみましょう。取り入れている場合は、積極的に利用すれば、給与天引きシステムが使えるので確実に老後資金を準備することができるようになります。

■保険を活用して自分年金を作る

個人年金や終身保険などの積立型の保険を活用すれば、保障を備えつつ老後のお金を確保することができます。 保険のデメリットは途中解約すると大幅に元本割れを起こすことです。

従って、途中解約を防ぐためにも、確実に支払い続けることのできる保険料がいいですね。個人年金には個人年金保険料控除が、その他の生命保険にも生命保険料控除が利用でき、税制面の優遇があります。

しかし、現在はマイナス金利の影響で円建ての個人年金や終身保険は販売休止が相次ぎ、新規の加入が難しい状況です。加入できる商品でも、利回りが低く魅力がありません。

そのような背景から、円建てではなく、外貨建ての商品や投資信託を利用した変額保険が主流となりつつあります。いずれもリスク性商品なので、資産運用に対する知識が最低限必要になります。

■個人型確定拠出年金「iDeCo」で貯める
iDeCoは、企業型確定拠出年金を取り入れていない企業に勤めている社員や、公務員、自営業者、専業主婦などが加入することができる制度です。

毎月積み立てた金額が全額所得控除となりますので、節税効果も高く、将来受け取る時も税制優遇が設けられています。ただ、基本的には投資信託で運用していきますので、自分の積み立てている年金が増減します。

なぜ自分の年金が増減するのか、外貨建て保険や変額保険と同様に、資産運用に対する知識が最低限必要です。また、60歳までお金を受け取ることができませんので、使いたい時に使えるといった自由度はありませんが、だからこそ、確実に老後資金を貯めることができます。

■資産運用で貯める
2018年1月からは、「つみたてNISA」が始まりました。これらの制度を利用し投資信託を毎月1万円ずつコツコツと積み立てていく方法も有効です。投資なので元本保証ではありませんが、長期で積立をするほど複利の効果が大きくなります。

それでは、複利による資産運用のシミュレーションを行ってみましょう。山田さん(30歳)、佐藤さん(40歳)、加藤さん(50歳)の3名がそれぞれ60歳まで毎月、積立投資をした場合です。
 
  • 山田さん:30年間、毎月2万円
  • 佐藤さん:20年間、毎月3万円
  • 加藤さん:10年間、毎月6万円

それぞれ積立元本は同じ720万円です。運用利回りを仮に3%と設定した場合、具体的にどのくらいの差がでるでしょうか?
 
  • 山田さん:1176万円
  • 佐藤さん:996万円
  • 加藤さん:850万円

以上のような結果となりました。年齢が若ければ若いほど、時間を有効に使いお金を増やすことが可能になります。毎月少ないお金で積立をしても、長い間運用することで、大きなお金の運用に勝ることもあります。時間を味方にできる若い世代だからこそ、始めるメリットがあると言えます。

現在のようなインフレ時に金融商品を持つことは、資産を目減りさせないためにも有効なのです。

預貯金にプラスして、以上のような貯まる仕組みを家計に取り入れていきましょう。バブル期と違い、大きな運用利回りを期待できる商品は少なくなっていますが、税制面の優遇は広がっています。本来支払うべき税金を支払わなくてよいということは、受け取るお金が増えるということですね。

老後のお金を国に依存するのではなく、自分でも作り出せるように早いうちに動きだした方が安心な時代となりました。貯蓄だけではなく、以上のさまざまな仕組みを利用し、さらに老後の過ごし方を考慮した働き方も身に付けるようなマネープラン・ライフプランが大切です。

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