「預ける」から「一緒に育てる」へ
当然のことですが、家で過ごす時間と保育園で過ごす時間はつながっていて、全体を通した流れの中で子どもたちは成長していきます。保育者と保護者が一緒に育てるという連携は、保育の基本でありながら、保護者の就労の形やニーズ、価値観の多様化もあり、常に新しい課題でもあると思います。
気付かぬうちに上達していることも
例えば、まだ自分でスプーンを使って上手に食事をすることができない1歳代のお子さん。慌ただしい毎日の流れの中の朝食や夕食では、親がスプーンで口に食事を運んであげていることがほとんどだったとします。ある日、お迎え時に先生からこんな風に声をかけられました。「今日はお洋服が多めに汚れてしまってすみません。でも、スプーンで頑張って食べていましたよ!」。この声がけの中には、複数のメッセージが込められています。「お子さんがスプーンを頑張って使っていましたよ」という励ましが、「家でも時間に余裕があるときは、周りが多少汚れても自分で食べようとする気持ちに任せてみよう」という気持ちにつながれば、保育園の時間と家庭での子育てに連携が育ってきます。
保育士や園への意見の伝え方を中心に考えてきましたが、もちろん、状況や相手のタイプによってもケースバイケースで、決まった正解というものがあるわけではありません。日頃から保育者と保護者のちょっとした会話が重ねられていくことで、少しずつ風通しのよい関係ができていくといいですね。