インプラントで快適な生活を

快適な日常生活を送る為にはそれぞれのケースに合ったインプラント本数を選択することが重要です。

歯が1本もない無歯顎の状態に行う歯科インプラント治療もあれば、天然歯と共存させるインプラント治療もあります。どちらにしても、機能性と審美性と長期安定性という3つの大きな役割りと治療の安全性やメインテナンスのしやすさなども求められるようになりました。歯科インプラント治療を行うにあたって様々な治療計画の提案を担当歯科医師からうけますが、それは必ずしも一致するわけではありません。担当歯科医師によって様々な考え方があるので、複数の歯科医師に相談するとおそらくバラバラの提案を受けることになると思います。

今回は、歯科インプラント治療を行う場合の適切な本数と位置について解説したいと思います。ご自分の口腔環境や生活上のニーズを考慮し、最適な歯科インプラントプランニングは何かを理解する参考にされてください。

歯科インプラントを支える骨

歯科インプラントは健康な顎骨によって支えられていなければなりません。その土台部分がしっかりしていなければ咬む力に耐えることができず、オステオインテグレーション(インプラント体と骨の結合)が壊れてしまいます。歯科インプラントを支える骨は一定の厚みがなければ時間の経過とともに痩せてしまいます。最低でも1.5ミリ、できれば2.0ミリの厚みの骨で支えられていなければなりません。それ以下の薄い骨では時間の経過とともに骨吸収(骨が痩せてしまう)が起こりやすくなります。

前歯と奥歯に適切なインプラントは?

前歯と奥歯では役割が違います。簡単にいうと、前歯は包丁の役割。根が1本で大まかに切る働きになります。奥歯はすり鉢の役割の歯。ある程度小さくなった食べ物をすりつぶします。激しい横揺れに耐えることができるように根は2~4本と様々で、骨の中に足を広げるように埋まっています。

奥歯の歯科インプラントは機能性を重要に考えなければなりません。激しい横揺れに耐えることができるようにできれば1本の欠損に対して1本の歯科インプラントを入れたほうがベターではないかと思います。3本欠損部の前後に2本の歯科インプラントを入れる事もありますが、過重負担はそれぞれの歯科インプラントに1.5本分づつかかりますし、上の3本の被せ物がつながることになります。ただし、何が何でも1歯1本の法則を守るために、一定厚みの骨を確保できなくなったり、危険部位に歯科インプラントを入れるようなことになるくらいであれば、あえてそこにはインプラントを入れない計画にすることも重要です。

前歯のインプラントは機能性はもちろんのこと、高い審美性も要求されます。骨に支持されていることもそうですが、同時に周囲と調和したバランスの良い歯肉や上部構造が必要不可欠だからです。アジア人は歯槽骨を覆う歯肉の厚みもとても薄く、インプラント周囲を自然に維持・回復するには様々なテクニックや配慮が必要になります。しかしどんなことをしても、一定以上の血液循環をしていなければその組織は時間の経過とともに痩せてしまうため、あえて1歯1本のインプラントを入れずに、ダミー(実際にはインプラントはないが、隣に植立されたインプラントの上部構造につながれたフェイククラウン)で審美的に維持するという方法もあります。

無歯顎の場合

無歯顎にたくさんの歯科インプラントを植立させるとなると、大掛かりな骨造成が必要になる可能性が高くなります。身体的な負担も大きくなり、リスクも高くなるので、あえて歯科インプラント埋入本数を少なくしたり、短めの歯科インプラントを入れたりすることもあります。埋入するインプラント本数が少なく上部の歯の本数が多ければ負担増になるので、オーバーデンチャーという取り外し式の義歯タイプにして粘膜にも負担させるということも行います。こういったことで、手術リスクなどを考慮して歯科インプラント埋入本数を考えるといった事もあります。

最適な本数を選択する為に

担当歯科医師の考え方や、技術力・経験によってさまざまだと思いますが、おそらく大半の先生が基本としているのは、奥歯は基本的に1歯1本。ただし危険部位を避けたり、口腔環境に配慮し本数を少なくすることもあるということ。前歯はそれに限らず、審美性を追求するためにあえてダミーを有効に使って審美的に仕上げる。無歯顎の場合は更に骨造成のための身体的負担を考慮して、症例によっては固定式でなくオーバーデンチャータイプを選択し、更にインプラント埋入本数を最小限にする。このような基本的な考え方でいいのではないかと思います。

とにかく大切なのは、自分にとって何が適切なのかと、治療のゴールとリスクをしっかりと理解してからスタートすることです。その為には、予備知識を持ってカウンセリングにのぞむことも重要です。