相続・相続税/相続・相続税の基礎知識

法定相続分と遺留分の違い(2ページ目)

法定相続分とは、民法で定められている相続の割合の目安。遺留分とは、遺言があって、かつ自分が相続できる割合がとても少なくても、最低限もらえる割合のことです。混合されがちなこの2つ、しっかりと理解しておきましょう。

小野 修

執筆者:小野 修

相続・相続税ガイド

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遺留分は必ずもらえるもの…とは限らない

「どんな場合でも最低限もらえる割合が遺留分」と誤解している人が多いです。「遺留分」は一定の相続人が一定割合を相続できることを保障する制度ですが、あくまで遺言があることが前提です。

分かりやすくいえば、「遺言があって、かつ自分が相続できる割合がとても少なくても、最低限はもらえる割合」となります。ですので遺言がなかったり、遺産分割協議となったりした時点で、遺留分は関係ないことになります。

遺言があれば必ず、最低でも遺留分はもらえるのか

遺留分は「遺言があって自分の割合が少なくても、最低限もらえることが保障されている」のに間違いはありません。しかし、自動的にもらえるわけではないことに注意が必要です。

保障された割合に満たない分は、「遺留分減殺請求」をしなければなりません。また、遺留分減殺請求をする権利は「割合が少ないことを知った日から1年、知らなくとも相続開始から10年」で消滅してしまいます。この間に請求することが不可欠です。

遺留分は配偶者、子、親などのみ。兄弟姉妹にはない

「法定相続分」「遺留分」は相続人なら誰もが持っている権利なのでしょうか?

まず法定相続分ですが、これは相続人であれば皆が持っています。一方、遺留分は、配偶者、子、直系尊属(親など)は持っていますが、兄弟姉妹にはありません。

遺留分のそもそもの趣旨は、被相続人が自由に分け方を決められるとはいえ、特定の相続人に集中させたり他人にあげてしまったりして、相続人の生活が保障されないのを防ぐことと考えられています。親は子を、子は親を、互いに助け合いましょう、ということとも言えます。

遺言があってもなくても、もめる要素になってしまうものです。将来、自分の相続人がもめないでほしいと誰もが考えているでしょう。遺言がないために遺産分割協議でもめてしまうことは想像できると思いますが、もめないように遺言書を作っていても、遺留分でもめてしまう可能性もあります。財産を遺す人こそ、「法定相続分」と「遺留分」の違いをしっかり理解しておくことが必要です。

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