小規模景気刺激策で中国株に上昇気運が!
中国株はまだ魅力的な投資対象
「中国政府の政策転換によって、これまで中国経済を牽引してきた大型の景気刺激策は打たれなくなり、引き締め政策が採られるようになりました。また、シャドーバンキングの規制強化や、汚職の取締りなど共産党内の綱紀粛正、倹約が図られていることから、中国を代表する企業の業績もスローダウンしています」(戸松さん)
ただし、今年の4月以降は、少し状況が変わりはじめているようです。
「中国政府は、4月2日に保障房(低所得者向け住宅)の建設や鉄道の拡充、中小企業の減税など小規模な景気刺激策を発表しました。これが大幅な株価上昇につながることは期待しにくいものの、中国政府が成長を犠牲にしてでも、規制強化や汚職の取締りをしようとしているわけではなく、成長の確保を重視していることのアピールにはなったようです。また、景気の先行指標とされる『HSBC中国製造業・サービス業PMI』を見ると、景気も回復しつつあるようです」
それに伴い、香港のハンセン指数や中国を代表する企業で構成されるH指数も緩やかに上昇しています。
中国経済にはまだまだ成長の余地がある
緩やかながら回復に向かいつつある中国経済ですが、その一方で、中国でも高齢化が進みつつあることから、今後の成長を危ぶむ向きもあります。ですが、戸松さんは「国民1人あたりGDPを見る限りでは、中国にはまだ成長の余地がある」と反論します。「1人あたりGDPが3000ドルを超え1万ドルに達するまでは、高成長が続く傾向があるとされます。IMFの推計によれば2014年の中国の1人あたりGDPは7332.66ドルですから、まだ成長余地があります。長期的には先進国より高いGDP成長が続く可能性があることから、いま行われている権力闘争や国有企業改革が終われば、中国株も上昇基調に戻れると考えています」
長い目で見れば、中国株はまだまだ魅力のある存在と言えそうです。