米国株は早くも上昇トレンドに再転換、日本株はどうなる!?
日経平均株価、急落後に大幅反発!投資のポイントはでは、日本株の先行指標となる米国株の短期トレンドは8月5日(日)に下落転換したとしておりました。しかし、その後の株価の動きをみると、8月13日(水)に早くも米国株の短期トレンドは上昇転換したと思います。まず、ナスダック総合指数を見ると、8月11日(月)までに3連騰して50日移動平均線を回復しておりましたが、13日(水)には前日より出来高を増して、比較的大きな上昇を遂げました。これで50日移動平均線を明確に上抜け、内容的にも上昇転換のサインとなるフォロースルーと見れると思います。もっとも、ニューヨークダウやS&P500はナスダックほど強い推移にはなっておらず、まだ下落転換から完全に立ち直ったとは言い切れない状態です。しかし、ナスダックは前述の通り、上昇転換していますし、既に年初来高値まであと僅かの位置にあり、一日分の上昇幅でこれを更新してしまう位置にあります。また、S&P500は既に50日移動平均線まで回復しており、こちらも突発的な悪いニュースが起こらなければナスダックの後に続いて上昇転換できる状況だと考えます。
このように米国株が強い背景が何かを考えると、その要因の1つとして、ECB(欧州中央銀行)のマイナス金利導入が継続して好影響を及ぼしている点が挙げられると思います。ECBは6月にマイナス金利導入を発表しましたが、これにより欧州の銀行はユーロを中央銀行に預けていると、マイナス金利で逆に残高が減ってしまいます。このため、ユーロを貸し出しに廻すか、他の通貨に換える必要に迫られますが、その最も大きな受け皿となるのが世界の基軸通貨でもある米ドルです。この結果、ECBの思惑通りユーロ安が進み、その一方で、米ドルと米国債に買いが集まります。このため、米国では量的金融緩和の縮小(テーパリング)が進んでいるにもかかわらず、長期金利は6月以降下がり続けています(=債券価格は上昇)。これは当然、米国の不動産市場や株式市場にとっては大きなプラスです。
日本株も短期トレンドは上昇転換する見込みだが、本格的な上昇は11月以降にお預け!?
日本株の本格的な上昇は、米国の金利上昇を織り込み始める11月以降になる!?
8月8日(金)にオバマ大統領によるイラク空爆承認会見で大きく下げた日本株ですが、日経平均株価、急落後に大幅反発!投資のポイントはでも指摘したとおり、騰落レシオは78という売られすぎ状態にありました。そして、8月11日(月)には大きく反発し、その後、日経平均は15日(金)まで5連騰となりました。5日続伸となったことは反発の強さを感じるところであり、ナスダックに続いて日本も上昇転換したとしても殆ど問題ないところです。ただ、この間、一度も大きく出来高を増しての上昇がなく、前週に大きな出来高で下落した日を打ち消すような、強い上昇が見当たりません。このため、正式に上昇転換したとは言えませんが、今回の出来高の低下はお盆休みという日本独特の理由により、やむを得ない事とも思います。したがって、おそらく突発的な悪いニュースが出なければ日経平均も今後出来高を増して上昇し、上昇転換できるのではないかと思います。
ただ、上昇転換を果たしたとしても、日本株は当面、米国株よりは弱い動きになると思われます。それは今回に限らずここ数ヶ月間では共通して言えることですが、前述のECBのマイナス金利導入による米国の長期金利低下が日本株にとっては逆にマイナスに働くためです。日本の大手企業は輸出企業が多いため、円安になると株価が上昇します。そして、円安になるには米国の金利が上昇する必要があります。米国の金利が高くなれば、(米ドルで運用したい人が増えるため)ドル高円安に動きやすくなるからです。本来ですと、米国でテーパリングが進み(そして日本は異次元の金融緩和が続いており)、ナスダックが年初来高値更新まであと一歩という段階ですから、円安になってもおかしくないところですが、今ひとつ円安にならず、日本株が騰がりきれないのは米国の金利が下がっていることに原因があると思います。この状況は、来年の米国の利上げを織り込み始める11月頃まで続く可能性があり、日本株の短期トレンドの上昇転換は近くあるとしても、本格的な日本株の上昇は11月以降にお預けになる可能性がある点も留意しておきたいところです。
参考:日本株通信
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