株・株式投資/日経平均株価の動向を専門家がチェック

日経平均株価、急落後に大幅反発!投資のポイントは

地政学リスク拡大で日本株は大きく急落し、8月8日には株価は200日移動平均線を一気に割り込んでしまいました。その後8月11日には大幅に反発しています。今後、どのように対処すればよいのかを考えてみたいと思います。

戸松 信博

執筆者:戸松 信博

外国株・中国株ガイド

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短期トレンドの上昇再転換に達するかは分からない

7月31日(木)に50日移動平均線を割り込み、8月5日(火)に短期トレンドが下落転換したS&P500指数(日足)

7月31日(木)に50日移動平均線を割り込み、8月5日(火)に短期トレンドが下落転換したS&P500指数(日足)

日本株の動向を見る上で、米国株の動向認識は欠かせません。世界の金融市場はリンクしており、世界の株式市場の時価総額のおよそ3分の1を占める米国株の動向は日本株を含む世界の株式市場に大きな影響を与えるためです。その米国株ですが、8月8日(金)はロシアのウクライナ近辺での大規模軍事演習の終了で緊張緩和され、ニューヨークダウは+185ドルもの大幅高で切り返したものの、足もとの株価の流れは悪いものとなっています。

7月31日(木)にS&P500は50日移動平均線を割り込み、しかも出来高を前日より大きく増して売り込まれました。その後、8月5日(火)にもう一度、出来高を増して売り込まれ、株価下落のフォロースルーが出たことで、米国株の短期トレンドは下落転換したと思います。なお、この下落トレンドは短期トレンドであって、長期トレンドは依然として上昇トレンド継続中です。短期トレンドが下落転換した背景にはイラクへの米軍空爆開始やロシアと欧米の制裁合戦懸念、それに未だくすぶるパレスチナ問題などの地政学リスク拡大や、それに伴う欧州の景気後退、株価下落があります。

もっとも、ここ1年以上のパターンですと米国株は短期トレンドが下落転換しても、今のあたりが底になって再び数週以内に短期トレンドは上昇転換してきました。ニューヨークダウで見ると200日移動平均線が長期的な支持線となっており、今回もキッカリ200日移動平均線で反発しています。

しかしこれらは結果論であり、短期トレンドが下落したところでは、これから大きな下落が控えている(=長期トレンドが下落転換する)可能性が常にあるため、用心しておくのが賢明です。この下落トレンドがいつまで、どれほど深く続くかは、いつも始まった時点では「全く不明」なのです。しかし次にいつ儲けるチャンスが来るかは分かります。それは短期トレンドが上昇転換した時です。相場で最も大きく儲けられる期間(たとえば2012年末~2013年5月の日本株の上昇のような大きな上昇相場)は必ず短期トレンドが上昇転換したあとに起こります。

この相場判断は相場のエネルギー(出来高)を伴った株価変動であるかを見ていくことが非常に重要です。トレンドの上昇転換や下落転換とは、必ず一回の出来高を伴った上昇でなく、その後に続く出来高を伴った再度の上昇や下落(フォロースルー)が入ることにより確認できます。たとえば、現在の米国株で言えば、このあと株価の上昇が続いたとしても、出来高が伴わない弱い上昇であれば絶好の売り逃げるチャンスとなります。

しかし出来高が拡大していくような上昇となれば、再び短期トレンドは上昇転換し、いつものようにここが底となります。この相場の鼓動を確認して素直にそのトレンドに従っていくことが一番重要なのです。

日本株も短期トレンドは下落転換へ!今後の相場の見通しは?

一方、日本株の方も短期トレンドは下落転換しています(長期トレンドは依然上昇のまま)。経緯をみると、8月5日(火)に日経平均は前日よりも出来高を増して154円下がり、この時点で4日続落となっており、

8月6日(水)に短期トレンドが下落転換した日経平均

8月6日(水)に短期トレンドが下落転換した日経平均

かなりの黄信号状態でした。そして8月6日(水)は下落転換が決定的となる出来高を伴う161円安(5日続落)で(東証一部の売買代金は前日より増して2兆円の大台に乗りました)、株価は50日移動平均線を下に割り込みました。売り込まれ方が明らかであり、この日のフォロースルーが入ったことで短期トレンドは下落転換したと思います。この出来高と下げの組み合わせ推移は、ほぼ米国株の推移と一致します。

8月7日(木)は一旦の反発となったものの、SQのあった8月8日(金)はオバマ大統領のイラクへの空爆承認会見が引き金となりパニック的下げとなってしまいました。この日の売買代金は、6月以来となる2兆5千億円台で、大いに売り込まれた模様です。

騰落レシオと信用評価損益は売られすぎ、一旦の反発を示唆している(8月8日(金)時点)

騰落レシオと信用評価損益は売られすぎ、一旦の反発を示唆している(8月8日(金)時点)

もっとも、騰落レシオは一気に78という売られすぎ域に達しています。また信用評価損益も売り買い逆転し、売り方が買い方を0.39%上回ります。これは行き過ぎであり、今日8月11日には反発しています。しかしそこから短期トレンドの上昇再転換に達するかは今のところまでわかりません。

それまでは日々の反発・下落に一喜一憂せず、前述の方法で短期トレンドを判別し、短期トレンドの上昇転換を待って買い入るのが賢明です。相場という魔物に対峙するかの如く、自ら予想などせずとも、相場に身を任せ、それが発するトレンドに従い続ければ、必ず乗るべき大相場には乗ることが出来、確実に避けるべき大幅を避けることが出来ます。 長期的に相場で生き残っていく為には、多少遅れても大暴落の被弾を避け、同じく多少遅れても大幅上昇期に株を保有しておくことが非常に重要だからです。

参考:日本株通信

※記載されている情報は、正確かつ信頼しうると判断した情報源から入手しておりますが、その正確性または完全性を保証したものではありません。予告無く変更される場合があります。また、投資はリスクを伴います。投資に関する最終判断は、御自身の責任でお願い申し上げます。
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