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レクサスNXから分析する「LEXUS」のブランド戦略

レクサスの新型車「NX」はブランド初となるコンパクトSUV。エクステリアとインテリアに関しては、同じクラスのBMWのX3やボルボXC60が普通に見えるほど頑張ったと思う。今回はレクサスNXを通して、レクサスというブランドについて改めて分析してみよう。

国沢 光宏

執筆者:国沢 光宏

車ガイド

ブランド初のコンパクトSUV 新型レクサスNXはどうか?

レクサスを日本に導入した当初、レクサスのスタッフは「正直な高級車」にしたいと語っていた。どういうことか? 例えばフェラーリとBMWで同じ部品を使っていることがある。それぞれのディーラーを通して部品をオーダーすると、フェラーリの方が圧倒的に高いのだった。
レクサスNX写真1

レクサスNXはブランド初となるコンパクトSUV

つまり同じ部品でも入れる箱によって価格を変えているワケ。レクサスはそういうビジネスをしない、と言った。「トヨタで1万円の部品ならレクサスでも1万円です。ただそういった部品は考えていません。レクサスの部品を1万5千円にしてもいい。その代わり部品そのものにお金をかけます」。

当時、レクサスの部品を作っている工場に行くと、レクサス用だけ違うラインで流していた。レクサスはトヨタより車両価格が高い分、良い部品を使うという意気込みだ。「価格に見合った内容を持たせる」というコンセプトにいたく共感し、やがてベンツやBMWを超えるとワクワクしたもんです。

さて、新しいレクサスである『NX』はどうか? エクステリアとインテリアに関して言えば、相当頑張ったと思う。同じクラスのライバル車であるBMWのX3やボルボXC60などが普通のクルマに見えるほど。NXに勝っているの、ランドローバー・イヴォーグのエクステリアくらいかと。
レクサスNX写真2

ハード面もキッチリお金をかければベンツやBMWに肉薄できるだろう

肝心のハード面を見ると、残念ながら「う~ん!」でございます。ライバル車の変速機は今や8速ATが普通。レクサスのエンジニアに「変速機は?」と聞いたら「既存の6速ATをコストをかけずに仕上げました」。新開発となる2リッター4気筒ターボも、全く同じエンジンをトヨタ車にも搭載するらしい。

今や当たり前の装備になっている自動ブレーキも、ボルボXC60は追突被害低減ブレーキや対歩行者事故被害低減ブレーキ性能で世界TOPレベル。BMWのX3の場合、XC60ほどの性能こそ持っていないが優秀。NXと言えば、追突を未然に防げる速度が15~30km/h。そして歩行者は感知出来ない。

高級メーカーのブランドイメージはお金で買うものではない

じゃあ、てんで厳しいかと聞かれたら「NXの開発担当者が判断できるブブンは頑張った」と思う。前方の自動ブレーキこそトヨタと同じで貧弱ながら、NXのみレクサスGSにも装備されていない制御を入れている。オプション設定の価格も、LS等と比べれば驚くほどリーズナブル。気軽に装着可能。

現時点で最も重篤事故の割合が大きいスモールオーバーラップ(車両前面の25%だけ衝突するモード)は、アメリカ仕様と全く同じボディを使うため対応済み。だから兄弟車であるハリアーより重い。これでハード面もトヨタよりキッチリお金をかけてくれば、遠くない将来、ベンツやBMWに肉薄出来るだろう。
レクサスNX写真3

価格は「NX200t」(428万円~)、「NX300h」(492万円~)となっている

日本におけるレクサスの戦略を見ると、ベンツやBMWのブランド戦略のマネ。ブランドをお金で買おうとしているワケ。しかし高級車メーカーのブランドイメージってお金で買ったんじゃない。長年優れたクルマ作りをしてきた結果なのである。ユーザーがブランドを作った、と言い換えても良い。

そのあたりを最も理解/認識しているのはレクサス部門の責任者でもある豊田章男社長だ。「良いクルマを作ればユーザーに理解して頂ける」と言う。章男社長の考えているクルマが作れ、販売&ブランド戦略が出来るようになったら、きっと私も再びレクサスに期待するようになると思います。
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