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メジャーの厳しさを痛感させられるトレード期限狂想曲

7月31日はメジャーリーグにおいて、最も重要な日かもしれない。ウェーバーを経ずにトレードができる最終期限日だからである。毎年“勝ち組”と“負け組”が存在するこのトレード・デッドラインの事情を見てみよう。

瀬戸口 仁

執筆者:瀬戸口 仁

野球・メジャーリーグガイド

メジャーリーグの厳しさを実感させられる事情

チームの命運を占うトレード・デッドライン。今年勝ち組になったチームは……?

チームの命運を占うトレード・デッドライン。今年勝ち組になったチームは……?

メジャーリーグにおいて毎年7月31日(日本時間8月1日)は、最も重要な日かもしれない。ウェーバーを経ずにトレードができる最終期限日だからである。上位チームはプレーオフに向けて戦力を補強したい。かたや優勝争いから脱落しているチームは将来と来季の補強のために、高額選手や今季限りで契約が切れてFAになる選手を放出する。そこには当然、“勝ち組”と“負け組”が存在することになるのだ。

今年はどちらかというとア・リーグ中心で繰り広げられたトレード・デッドラインだが、その中でNo.1の“勝ち組”は、アスレチックスだろう。7月5日(同6日)にカブスからサマージャ、ハメルの先発2人を獲得していたアスレチックスは、レッドソックスから左腕エースのレスターと外野手のゴームズを手に入れた。代わりに主砲のセスぺデス外野手を放出したが、あの“マネーボール”で知られるビリー・ビーンGMの1989年以来というワールドシリーズ制覇への本気度が伝わって来る補強だった。

次は、レイズからトレード市場の目玉となっていた2012年のサイ・ヤング投手である左腕プライスを三角トレードという形で獲得したタイガースだ。これでバーランダー、シャーザー、プライスとサイ・ヤング賞投手3人が先発を形成することになった。また、レンジャーズからソリアを獲得してブルペンの強化にも成功。ドンブロフスキGMの手腕が光った。タイガースは現在、地区3連覇中だが、30年ぶりの世界一も夢ではなくなってきた。

他には、レイズ、タイガースとの三角トレードでジャクソン外野手を、パドレスからデノーフィアを、ツインズからモラレスを獲得し、打線の強化に成功したマリナーズ。レッドソックスからドリュー、ダイヤモンドバックスからプラドと内野手2人、ロッキーズから先発左腕のカプアーノを獲得したヤンキース。レッドソックスを戦力外となったA・J・ピアジンスキー捕手を補強、そのレッドソックスから先発右腕のラッキーを獲得したカージナルスなどが“勝ち組”に入るだろう。

“負け組”といっては失礼だが、強烈な“ファイアーセール(叩き売り)”を行ったのが、レッドソックスだった。先発の軸だったレスター(アスレチックス)、ラッキー(カージナルス)、ブルペン左腕のミラー(オリオールズ)、野手ではゴームズ(アスレチックス)、ドリュー(ヤンキース)がチームを去った。すでにピービ(ジャイアンツ)、ドゥブロン(カブス)も放出されているため、ローテーションピッチャーで残っているのはバックホルツだけ。この現状に上原は自身のツイッターで「今年のトレード、凄くないっすか??」とつぶやき、ブログでは「いや~、結構いなくなったなあ。開幕当初のメンバーから、解雇も含めると11人いなくなったらしい」と驚きを隠せなかった。昨季の世界一チームでもア・リーグ東地区の最下位に低迷すればこういう事態になるというメジャーリーグの厳しさを実感させられるトレード・デッドラインだった。
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