ユダヤ人はドアの値段まで質問する
金持ち母さん 星野陽子さん
星野陽子さん 家を新築した時、友人たちを招いたんです。日本人の友人たちは、「いい家ね」とか「木のいい香りがする」と、当たり障りのない会話をしながら、リビングに座ってお茶を楽しむことがほとんどです。でも、ユダヤ人の友人たちは違います。家の中に入るや否や、家じゅうを勝手に開けて見て回り、「この土地はいくら? 建物の値段はいくら? ローンはいくら借りてどんな風に組んだの?」と、興味津々で質問攻めにしてくる。思ったことを思ったまま口にする彼らは、非常ににぎやかです。そして、ドアを開けながら、「このドアいいね。このドア、いくら?」と、ドアの値段まで聞く(笑)。
――ドアの値段を聞くというのは、なかなかすごい発想ですね (笑 )。自分が家を建てる時のシミュレーションをしているのでしょうか。立ち入ったお金の話を聞くのは、なんだか気が引けると感じる日本人とは、かなり違いますね。
星野 そういったコミュニケーションのなかで、情報交換して生きた智恵をたくさん増やしていくんですね。人の家に訪問しては、そうして質問を繰り返していれば、家の知識やあらゆる相場を知ることができます。私はハウスメーカーを使わないで建てたのですが、そういう情報も含めて細かく教えてあげました。そうやって情報交換をしていくわけです。
「給料いくら?」と聞かれたことも
ユダヤ人から学んだお金持ちになる方法
星野 確かに彼らは、食べ物や暮らしの話と同じくらい、お金の話をしますね。「給料いくら?」と聞かれたことも(笑)。「何がいくらでどんな風にそれを得たか」などは、日常的に話しますね。対して、日本人は、お金の話をあまりおおっぴらにしませんよね。不動産投資家の仲間たちも、自分が不動産投資をやっていることはみんな会社で隠していると言いますしね。
――ちなみに、そもそも不動産投資に興味を持ったのもユダヤ人の義父がきっかけだったとか。
星野 そうなんです。義父は不動産投資家だったのですが、彼からは投資的な考え方を学びました。義理姉のマンションに遊びに行ったときに、「この家は私がプレゼントしたんだよ。しかもタダで手に入れたんだ」と言うんです。要は、銀行にプランを提示してお金を借り、3階建てのマンションを建てて、義理姉の家以外の部分を売ることでお金を回収したのだと聞きました。そのやり方を繰り返し、一部分は自分のものにして、家賃収入を得るなどして、資産を築き上げていたんですね。「やり方次第でお金持ちになれるのだな」と、強く印象に残りました。私自身、借家育ちで家に対する憧れが強かったこともあり、いつか自分も不動産投資をやってみたいなと思いましたね。
★次回は星野さんが「金持ち母さん」になるまでのストーリーです
教えてくれたのは……
星野陽子さん
東京都出身。外資系メーカー、シティバンク勤務を経て、フリーの特許翻訳者、作家として活躍。 イスラエル国籍のユダヤ人と結婚し、子ども二人に恵まれる。 最初は「貯まらない人」だったが、ユダヤ的思考を得てから、貯金や投資ができるように。 東欧からの移民の子で、14歳から働き、資産ゼロから財産を築いた義父から不動産投資を学び、 投資物件(6億円)などの資産を持つまでに。 約20年に及ぶユダヤ人たちとのつきあいなどを通してユダヤ式成功術を研究している。 著書に『ユダヤ人大富豪に学ぶ お金持ちの習慣』など。
取材・文/西尾英子