金物職人:ルイ・ダルベと出会いで生まれた家具
シャロー以前のデザインとの違いは、とてもElegance(エレガンス)、つまり優雅で繊細な点。そして「木」に対する思いが強い点。加えて、1923~25年シャローのアイデアを再現出来る出会いとなった金物職人:ルイ・ダルベの存在が大きかった。まさに「共犯者」と言えるぐらいのモノづくりがそこから始まった。
「修道女」(1923年)という照明器具はその代表作の一つ。
まさに修道女を思わせるフォルム、金属、石、木、羊皮紙、布などの素材を組み合わせた照明器具シリーズ。会場ではスタンド部分が金属、シェードを金属とアラバスター【alabaster】製、これは大理石の一つ、雪花石膏(せつかせつこう)という石材で構成されたタイプが展示されている。
スタンド部分は、緩やかにカーブし修道女の衣をイメージし、シェードは明らかに白帽子。近づいてみるとどの角度からも光源(電球)が見えないよう石板を構成している。石板を通した淡い明かりが静寂の時を醸し出している。
ルイ・ダルベが円錐形のスタンドを形成するのにかなり苦労したエピソードがある照明器具だ。凛として佇む清楚な美しさがある。
ロアスタンドは支柱を木で製作したタイプの他に、テーブルランプ、ベッドサイドランプの3タイプからなるシリーズの照明器具である。
また1/4形状をつかったテーブルランプも面白い。
石板シェードの角度や高さ調整が可能な機構となっている。シャローのアイデアをダルベが再現するという二人三脚がデザインの近代化を具現化していったのである。