空気を読みすぎて自滅するのは本末転倒
思いやりは大事なこと。しかし空気を読みすぎては誤解が生じることも。正しいコミュニケーションを。
「メールの回数が減ったのは、彼に飽きられたから?」
これらは、最近増えている恋愛相談の傾向です。
当の相手に確かめず、行動や態度からなんとか相手の気持ちを探ろうとする……それは相手に対する思いやりのつもりなのでしょう。
しかしその裏側には「直接聞くのが怖い」臆病な心理もうかがえます。
特に同じ学校や会社といった毎日顔を合わせる環境にいる相手を好きになった場合、「告白して気まずくなるのが怖い」気持ちになるかもしれません。
だけど逆の立場になって想像してみてください。何も打ち明けることなく様子をうかがうだけでも、相手はその視線に気づいているはず。
「言いたいことがあるなら、ハッキリ言えばいいのに」
そう思われてしまったら、あなたの好意はマイナスの方向に転じてしまうかもしれないのです。
こと日本人は「空気を読む」「言わずに察する」ことが美徳だと思われています。
しかし、肝心の空気を読み違えていたら、結局は「空気が読めない」扱いになってしまうのが怖いところ。
メールの回数に至っては、減っただけで「飽きられた」と捉えてしまうのはマイナス思考すぎ。「忙しいから」「元々メールはあまり好きじゃない(電話のほうがいい)」という可能性まで想像を広げれば、悩む前に対処もできるもの。
嫌われるのを恐れ、むやみに空気を読みすぎると自滅します。先のメールであれば、無意味な内容を減らし相手のペースに合わせてこそ、空気を読んでいるといえるのではないでしょうか。
相手の「わからない」部分を空気を読むことで補えればいいですが、思い込みの強さやマイナス思考に偏りがちな人は特に、見えない感情を必要以上に想像して推し量るのは悩みを増やしてしまうだけ。
直に接する場面(あるいは電話)における態度や表情や声色で相手の気持ちを探るのは、文字だけのメールより多少マシかもしれません。
それでも周囲にいろんな人がいる会社のような公の場においては、あえてそっけなくするなど「本心とは違った(抑えた)振る舞い」をする可能性は充分にあります。ふたりきりのデート以外は、あまり相手の態度に振り回されず、気にしないほうがいいと思います。
そもそも恋愛感情は複雑なもの。たとえ好きでもケンカ中は怒りを鎮めるために連絡を絶つ人もいれば、「もうあまり好きじゃないけど別れようとは思っていない」という微妙な感情を悟られないために、逆に優しくするといった裏腹な態度を見せる人もいます。
恋人同士ならば、ただの他人よりはずっと心を許している関係なのですから、あまり空気ばかり読んで何も伝えることなく自滅するよりは「私にはこう見えるのだけど、本当はどう考えているの?」と聞いてしまうほうが得策。
話し合いや口論だって立派なコミュニケーションです。ぶつかることを恐れているうちは、まだ心を許し合う関係にはなれていないのかもしれません。