三尊天井出現で日経平均は下落?
様々な問題がある中でも米国株は最高値更新が視野に入る状況が続いています。日本株は1万5500円を前にモタモタした状況となっていますが、これを打破して米国株に続くことが出来るでしょうか?
しかし、その一方で日経平均は1万5500円の手前で停滞感が強まっており、微妙な雰囲気です。チャートを確認すると200日移動平均線を50日移動平均線が上に突き抜ける、中期的な上昇を示唆するゴールデンクロスが出る一方で、日足の日経平均は三尊天井(さんぞんてんじょう・3つの山形を示し、中央の山が最も高くなる形状)のような形を出してモタモタとしており、週足で見ても昨年末高値をヘッドとする大きな三尊天井に見えます。
三尊天井に見えたら必ず下落するという決まりはありませんが、ここから下げに行った場合、売り方は一気に攻め込んで来るので一応留意しておきたいと思います。三尊天井だから下がるのではなく、そのような形状でモタモタとした相場が続いた挙げ句に下げ出せば、皆が上昇を諦めて売りに回るから下がりやすいのです。今のところまだ買い方が上昇を目指して粘っている段階で、中々上抜けないものの、1万5100円レベルまで下がると、もう一度上抜けを目指す買いが入ってきています。ただし、このレベルを下抜けた場合は一気に売りが膨らむと思うので、注意したいところではあります。
基本的には年末高を期待できる状況が続いている
日本株が今ひとつ上昇しきれない理由とはでも書きましたが、現在日本株が米国やドイツなどにみられるような株高に乗り切れない1つの大きな理由は米国の金利が下がってきていることにより、円安になっていないだと思います。お金は金利が低い方から高い方に流れるため(みんな高い金利の通貨で預金をしたいからです)、ドル円の為替レートには日米の金利差が大きく影響してきます。米国の10年物国債の金利は下がり続けており、7月17日(木)には2.5%を割り込みました。FRBは2014年10月までにテーパリングを完了させ、米国債と住宅ローン担保証券(MBS)の買い入れを終了する予定ですし、米国の雇用状況は良い状況が続き、失業率は6.2%まで下がっています。確かに米国の第1四半期のGDPは2.9%減という厳しいものでしたが、これは寒波による影響が大きく、ISM協会発表の製造業、サービス業の景況感指数などは第1四半期を底に回復してきており、新築住宅着工件数、中古住宅販売価格も高水準で推移しています。これらは教科書通りであれば国債価格の下落(=金利の上昇)につながるものです。ましてや来年には米国の利上げも視野に入ってきます。
それなのに米国の金利が下がっているのはいくつかの複合的な要因によるものと思います。地政学リスクの増大により先進国の国債が好んで買われていること、昨年4月以降にテーパリング開始が懸念されはじめた直後に金利が急騰したことによる調整、中国が米国債を大きく買っていること(人民元安、輸出対策につながる)、量的緩和政策終了に伴う景気失速懸念(米国の長期成長停滞懸念)などがあると思います。
しかし、米国経済がこのままの状況で推移すれば、年末のクリスマス商戦はかなりの活況が期待できると思います(株価の上昇と不動産価格の回復により米国人の財布が緩みやすくなっているからです)。さらに来年の利上げが視野に入ってくれば、自然と年末頃には米国の金利が上がって、日米の金利差が開き、円安、株高に動き出すのではないかと思います。
日本株は景気敏感株の集合体である上、世界的なリスク選好時に通貨安になる(円安になる)という特異性があり、2013年1~5月のように、雰囲気が変わると一気に状況が変わる習性があります。このように考えると、日経平均はしばらくもたもたしたあと、一端の調整が入り、その後上昇していくという日本株はカップ・ウィズ・ハンドル後、上昇か!?で予想したような相場展開になるのではないかと予想します。
参考:日本株通信
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