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噛み合わせ調整で歯を削るときに知っておきたい5つのこと

【歯科医が解説】健康な歯を削ることには、多くの人が抵抗があると思います。健康な状態の体はそのままが一番かもしれませんが、噛み合わせに関しては必ずしもそうではありません。噛み合わせを調整するために歯を削る大切さを解説します。

丸山 和弘

執筆者:丸山 和弘

歯科医 / 歯の健康ガイド

噛み合わせを調整するためなら歯を削ることも大切

噛み合わせ調整 歯を削るときに知っておきたいこと

虫歯、歯周病を急速に悪化させる原因の一つが噛み合わせのずれ

体に関しては特に自然のまま、天然が一番と考える人が多いのですが、噛み合わせに関してはそうではありません。歯並びが自然のままでは完璧に並ぶことができないように、何もせずに一生トラブルのない噛み合わせを得ることは非常に難しいのが現状です。

多少のずれ程度であればそれほど問題にはなりません。歯が擦り減ったり移動したりして症状を出さないように、自然に調整されることが多いからです。しかし、噛み合わせが原因で起こってしまう知覚過敏や痛み、腫れなどの症状が出ている場合には、この自動補正の許容範囲を超えていると考えましょう。歯を削ることは悪ではなく、許容範囲に入れるための修正と考えるようにしましょう。
 

噛み合わせは見た目よりも機能を優先

きれいな歯並びを作るためには、あくまであごの動きを優先してから、その範囲内で作ることになります。たとえ見た目が完璧な歯並びや歯の形があったとしても、あごの動きにマッチしなければ、歯を支えている骨がダメージを受けたり、歯が痛くなったり、ぐらついてきたりして歯並びが崩れていきます。

さらに、もしあごの骨がガッチリしていて、噛み合わせの力に抵抗できる場合には、噛み合わせている歯同士が強制的に擦り減ってしまったり、かぶせものなどが噛み合わせの力によって破損することになります。かぶせものの強度に問題があるというよりは、予期せぬ噛み合わせの動きや力に耐えられずに破損することがほとんどだと思います。
 

噛み合わせの修正は歯を長持ちさせる秘訣

単純にカチカチ噛んで閉じた位置だけが「噛み合わせ」と考えるわけではありません。左右に歯ぎしりのような動きがあったり、下あごを前に突き出して前歯の歯だけで噛むような動きであったり、動きを加えた時に歯に負担が掛からないことがバランスのよい噛み合わせです。

歯は最初から顎の動きに完全にマッチした形や位置に完璧に生えてきません。あごから見れば既製品の洋服のような状態で生えてくるのです。そのままで大丈夫な人もいれば、全く合わずに歯にダメージを蓄積してしまう人もいます。また年齢とともに体型が変化するように、歯の位置が変化したり、顎の動きが変化して歯にトラブルを起こすこともあります。そこで洋服のオーダーメードのように噛み合わせもときどき修正することが歯を長持ちさせる秘訣になってきます。
 

歯の削りすぎではない? 削り不足でしみるケースも

噛み合わせが引き起こすトラブルに知覚過敏があります。噛み合わせの衝撃が蓄積されて、歯ぐきのすぐそばの歯がクサビ状に擦り減りやすくなるのです。進行すると象牙質が露出するため知覚過敏を起こしますが、ケースによっては噛み合わせを調整すると知覚過敏が治ることよくあります。

噛み合わせの調整で歯を削るとなんだか余計しみるような気がしますが、調整で削る部分はエナメル質という部分で、削っても何も感じることができない部分です。さらに削ることに敏感になりすぎて、調整が原因でしみるようになっていると勘違いすることもありますが、実は削る量が不十分なために知覚過敏が治らないこともあります。
 

噛み合わせに違和感があるなら早めの調整を

噛み合わせが原因で最初に起こる症状は、多くの場合「違和感」です。違和感は、噛み合わせのずれを早期発見することにつながります。違和感程度であれば、少し歯を削って調整するだけで完治することもあります。

違和感を放置すると次第に痛みや腫れ、しみるなどの自覚症状現れてきます。ひどくなると噛み合わせで起こる強い力によって徐々にダメージが蓄積され、最悪の場合抜歯しか治療法がないこともあります。

噛み合わせのずれが体の許容範囲を超えてしまうと、自然回復は望めなくなります。そこでなるべく早い段階で修正を行なえば、大きなトラブルを未然に防ぐことができます。そのためには、定期的検診などで歯周病と噛み合わせのチェックを行なっていけば安心です。


年齢とともに歯の本数が減少する傾向が出てきますが、本数が減れば当然1本にかかる負担が増加していくため、余分な力を受け止める余裕が無くなり、トラブルを起こしやすくなります。歯が自分の噛む力に負けてしまうのを防ぐためにも、僅かに歯を削るだけでトラブルを未然に防ぐことができる噛み合わせの調整が大切になってくるのです。

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