走りは初代と2代目のいいとこどり
クーパーには最高出力136ps/最大トルク220Nm(オーバーブースト時230Nm)の1.5リッター3気筒ターボ、クーパーSには192ps/280Nm(300Nm)の4気筒ターボを搭載。クーパーでは旧型よりトルクを約40%高めつつ、燃費は約15%向上させている
注目すべきは新開発のBMWモジューラーエンジンを積んだこと。これは、500ccの共通シリンダーを複数組み合わせることで、様々な排気量のガソリン&ディーゼルエンジンを実現するという試み。開発時間が短くなり、共有部分も大幅に増える(6割程度)ことから、コストも下がる。1気筒あたり500ccというスペックは、一般的に、最も実用に適すると言われている数値でもある。
大きくなったとはいえ、重量増は最小限に抑えられた(大きくなりましたが重くなっていません、は、最新モデルが常に発するセールストークだ)。しかも、新型パワートレインのパフォーマンスは旧型を上回っている。それゆえ、ドライビングファンという点では、アシまわりがいっそう煮詰まったぶん、大きく進化したように感じた。
まずは3発のクーパー+ATから。動力性能的にはこの仕様で十二分だ。低回転域からしっかりとトルク=力が出ていて、とても扱いやすく、車体の動きも軽快である。加速はあくまでも小気味よく、クルマの大きさや重さを不必要に感じるようなダルさとは無縁。
乗り心地は前2世代よりいっそう乗用車テイストが増したようにも思えるけれども、アシに負荷のかかる峠道ではしっかりとゴーカート感覚も出ている。初代と2代目のいいところを掛け合わせたような感じで、好印象だった。
4発のクーパーS+ATになると、パワフルさがさらに際立つ。“やんちゃ”な走りとまでは言わないが、街中の限られたアクセル操作では欲求不満になるほど、ドライビングハートに直結した右足がうずうずする。クーパーよりゴーカート風味がさらに強いライドフィールだが、かといってゴツゴツとした印象はない。排気音はけっこう勇ましい。下品ではない。クルマ運転好きの心を絶妙にくすぐる音質と音量だ。
エンジンのフィーリングも、3気筒よりいっそう滑らかで、キレイに高回転域まで回る。とびきり元気に走り回りたいというなら、Sをどうぞ。マニュアルミッションも楽しいと思う。
たまには、ミニサーキットにでも出向いて、抑え込んだエネルギーを解放してあげたい。そう思わせるハツラツさこそ、ミニの根源的な魅力というものだろう。