“新しくないこと”は、名乗り続けるための“生命線”
しかし、新型ミニを近くに置くと、やはり、見るからに大きい。それでも、今ではクロスオーバーなんていう“でっかいミニ”もあるわけだから、それでも“小さい方のミニ”だと思えてしまうあたり、BMWのよくできた戦略というわけか。もっとも、デザイン的には新しさはなく、見どころはといえば、クーパーSの、ちょっと張り切り過ぎたバンパーまわりのくどいデザインぐらいのもの。“さほど新しくないこと”は、ミニと名乗り続けるための、ある意味、“生命線”なのだろう。要所要所でディテールデザインを変更、神経質にリファインしながらも、全体として一般的なミニイメージを守っている。デザイナーサイドからしてみれば、逆に、非常に難しいチャレンジが続いているようにも思う。
それでも、インテリアにはひとつの変化が見られた。センターメーターが廃されたのだ。もっとも、デザインアイコンでもあった体重計のように大きな円形のパネルそのものは健在で、新型ではこれをメーターではなくナビシステムなどのディスプレイとして活用する。
速度計などはフツウのクルマと同様に、ステアリングホイールの向こう側に移されたというわけ。流行のヘッドアップディスプレイも備わっている。世の中的にも、センターメーターは消えつつあるようだ。
テールパイプはクーパーが1本出し、クーパーSはセンター2本出し。ホイールは15~18インチまで9種類を用意。標準装備はクーパーが15インチ(タイヤサイズ 175/65R15)、クーパーSが16インチ(195/55R16)
個人的には、当初から5ドアモデルまで企画していたのであれば、いっそ3ドアを、“ヘリテージの伝承”とか“理想のミニを目指した”とか言って、もっと小さく、せめて初代程度のサイズにまとめてみるという考え方があってもよかったと思うが……。
ちなみに荷室空間は51リッターも増えた。それが、はたしてどれだけ嬉しいことなのか、ボディサイズの大型化を差し引いてあまりあるほどの歓びなのか、筆者にはこれまた皆目検討もつかない。いっぱい積みたいというなら、クラブマンやクロスオーバーが、あるんじゃない?