山形新幹線を走る「とれいゆつばさ」
新幹線車両初の観光列車「とれいゆつばさ」は、山形新幹線の福島~山形~新庄間を、土休日に1日1往復する。山形新幹線とはいうものの、福島~新庄間は、新幹線車両が直通できるように、在来線の線路幅を世界標準軌に広げた路線であって、単線区間や踏切があり、各駅停車の電車も走るため、最高速度は130kmにとどまる。時速200km以上で突っ走るわけではない。「とれいゆつばさ」は臨時列車扱いなので、途中駅での停車時間にも余裕があり、その意味では異例の新幹線車両、のんびりした列車旅が楽しめる。
「とれいゆ」とは、トレイン(英語で列車)とソレイユ(フランス語で太陽)を合わせた造語で、「食」(太陽の恵みによる様々な食材)「温泉」「歴史・文化」「自然」を温泉街のように散策しながら列車の旅を楽しむ、というテーマが凝縮されたという想いを込めて命名したとのことだ。公式発表にはないが、「ゆ」は足湯を連想させる。
他の「つばさ」車両と異なるカラーリングは、山形の主峰「月山」をモチーフに、その姿をおおらかな円弧で表現し、「最上川」のブルーを先頭に配している。また、全体を蔵王のすがすがしい白で包みこんだとのことで、デザインは、E7系北陸新幹線車両、「SL銀河」旅客車両など最近のJR東日本の車両と同じく世界的デザイナー奥山清行氏が担当している。
「とれいゆつばさ」は6両編成で、東京~福島間を東北新幹線の列車と併結運転する他の「つばさ」に合わせて11号車から16号車(東北新幹線が1号車~10号車)となる。もっとも、「とれいゆつばさ」は、今のところ、福島~新庄間を往復するだけなので、東北新幹線と併結することはなく、福島駅の発車ホームは、新幹線ホームではなく、在来線ホームとなっている。福島で新幹線との乗り継ぎをする場合には間違えないように充分注意したい。