資産形成のファーストステップは家計の黒字化から
藤川太さん
――低所得世帯が資産を増やすには、何から取り組めばいいでしょうか。
藤川太さん 資産形成のステップは、家計を黒字化することから始まります。まずは、支出と収支のバランスをとり、きっちりと収入内でやりくりできるようになること。同時に、銀行の自動積立や会社の財形貯蓄などを活用して「自動的に貯まる仕組み」を作って着実に貯金を増やしていく。そして、ある程度お金が貯まったら、今度はそれを元手に資産を大きく増やすことを考え始める時期です。余裕資金を投資に振り向けてみましょう。まずは、資産1000万円を目指したいですね。
――貯金と投資の割合は、どれくらいが妥当ですか?
心が折れない投資の鉄則とは
自分がどれくらいまでなら損失を許容できるのかは、人によってさまざま。なかには、数百円、数千円と動くたびに一喜一憂し、心に余裕がなくなってしまう人もいますからね。投資には、当然ながらリスクが伴います。儲けることもあれば、損をすることもある。小さな損なら大したダメージはありませんが、時には大きな経済ショックに巻き込まれ、資産が減ってしまう可能性もあるわけです。以前お伝えしたように、これまで日本は5~7年ごとくらいに大きな経済ショックが起きています。長年投資をしている人でまったく損をしたことがないという人は恐らくいないはずです。
――とはいえ、損はできるだけ避けたいのが心情です。自分のリスク許容度を見極めて、上手く投資と付き合うにはどうすればいいでしょう?
藤川 損をしたときに心が折れてしまう人というのは、大抵リスクをとりすぎているんです。「お金持ちになりたい」という思いと、自分の心が乖離(かいり)している。投資に対する心の準備ができていないんですね。そういう人はまず、投資の勉強から始めて少しずつ投資のお金の動きに慣れていくことです。上手に投資をするには、知識に加え、心の準備や慣れが必要。少しずつ経験値を上げながら、自分のリスク許容度を見極め、家計と貯金の最適な割合を見つけていくことですね。
――オススメの投資法は?
投資信託で時間を味方につける
日本株や外国株、海外REITなど、投資先の異なるものを組み合わせてポートフォリオを作ってみてください。ただし、投信積立での運用は、すぐに成果が出るものではありません。長期スタンスでじっくり増やす姿勢で。アベノミクスによる景気刺激により、投資に追い風が吹いているこのチャンスに、しっかりと資産形成をしていきたいものです。
藤川太さんがオススメする投資信託と使い方
●お金がない人は3本のうち1本を選択して積み立てるセゾン・バンガード・グローバルバランスファンド(セゾン投信)
世界経済インデックスファンド(三井住友トラスト・アセットマネジメント)
eMAXISバランス(波乗り型)(三菱UFJ投信)
●NISAを活用したい人は3本のうち1本選択して積み立てる
SMT グローバルREITインデックス・オープン(三井住友トラスト・アセットマネジメント)
eMAXIS 先進国リートインデックス(三菱UFJ投信)
eMAXIS 新興国リートインデックス(三菱UFJ投信)
●貯蓄が1000万円以上ある人が組み合わせて持ちたい投信
SMT 日経225インデックス・オープン(三井住友トラスト・アセットマネジメント)
SMT グローバル株式インデックス・オープン(三井住友トラスト・アセットマネジメント)
SMT グローバル債券インデックス・オープン(三井住友トラスト・アセットマネジメント)
★次は藤川さんが考える「収入の上げ方」です
教えてくれたのは…
藤川太さん
ファイナンシャル・プランナー。All About 資産運用ガイド。「家計の見直し相談センター」で10年以上にわたり1万5000世帯を超える家計の見直しを行ってきた。資産運用、家計管理、マイホーム購入、不動産投資などに精通。「普通の人」でもお金を貯める・増やせるようになる方法をアドバイスするFP。
取材・文/西尾英子