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すみだガラス市レポート

東京都墨田区で毎年年2回、春と秋に開催されるガラス市。日本唯一ガラスだけが集まる市って、一体どんな市なんでしょう?当日の様子をレポートします。

江澤 香織

執筆者:江澤 香織

雑貨ガイド

東京都墨田区では、毎年春と秋に「すみだガラス市」が開催されます。墨田区、江東区、江戸川区などは元々職人の多い街で、昔ながらのガラス工場もあちこちに存在しています。東京の地場産業として、職人の技やガラスの魅力をより多くの人に知ってもらいたい、という思いを伝える活動のひとつがこのガラス市。2010年の春に開かれた市の様子をレポートします。

赤い旗が目印!公園内にのんびりとしたテントが広がっています。

赤い旗が目印!のんびりとした公園の中に、ガラスを販売するテントが並んでいます。


場所は錦糸町の駅から歩いて5分くらいのところにある、墨田区大横川親水公園。広々とした、遊歩道のような細長い公園で、のどかな噴水があったり、春は桜が咲いていたり。目の前には建設中のスカイツリーがどーんそびえています。「ガラス市」と書かれた赤い旗が道沿いにたなびいているので、旗の導く方向へ歩いていくと自然に到着します。公園に着くと、ずらっと賑やかなテントが並び、下町ならではののんびりと大らかな雰囲気。たくさんのカラフルなガラス製品がダンボールのまま無造作に置いてあったりします。アクセサリーからうつわ、オブジェまで、種類も様々です。

朝早くからお客さんで賑わっています。若者からファミリー、年配まで様々。

朝早くからたくさんのお客さんで賑わっています。若者からファミリー、ご年配まで。


訪れた日はとてもお天気がよく、ガラスも太陽の光にキラキラと反射して、眺めているだけでも楽しい気分。各ブースごとに特徴もあって面白い。それぞれの得意分野があるようです。そして人気のブースは早くも品薄に・・・。欲しいものを確実にGETしたいなら、午前中から早めに行くべきかもしれません。

眺めているだけで、清々しい気持ちになってくるガラスたち。

眺めているだけで、晴れやかな気持ちになってくる、きれいなガラスたち。


さて、市で見つけたちょっと気になるガラスたちをご紹介します。まずは、職人技の光るブース。下左はテレビで紹介され話題になったという岩澤硝子株式会社の「江戸前すり口醤油注ぎ」。サンプル用に水を入れた醤油瓶が置いてあり、実際に注ぎ心地を試すことができました。醤油瓶は、注いだ後に口先に残った醤油のしずくが、表面をつーっと垂れ落ちてしまうことにイラっとすることがありますが、これは、本来垂れそうになるしずくを一瞬でするっと中に収めるような技術的工夫が凝らされており、気持ちよいほどピタリと止まります。デザインもシンプルで食卓のじゃまになりません。
 

 

右は手仕事の砂時計。時間の流れをゆったりと味わえ、心豊かになれる優雅な道具ですね。エジプトの砂を使ったものなどもあり、遊び心があってユニーク。砂時計を作る職人さんは今はもうあまりいないそうで、時間の誤差なく絶妙なくびれを作るのは、熟練の技によるものだそうです。

どこか懐かしい雰囲気のデザインで和みます。

どこか懐かしい雰囲気のデザインで和みます。


一方こんなレトロな風情の素朴なプレスガラスもあちこちで見かけました。ほのぼのとキッチュな雰囲気がかわいくて、お値段もかわいいのが嬉しい。市の規模は決して大きくはないのですが、ここだけの放出品があるのも魅力のひとつ。何気なく積んであるカゴの中に思いかげない掘り出しものが見つかったりするので、毎回お宝探しを楽しむリピーターも多いようです。

理化学好きにはたまらないラインナップ。実用としても便利です。

理化学好きにはたまらないラインナップ。実用としても便利です。


こちらは理化学系ガラスのコーナー。ビーカーやフラスコなどちょっと懐かしい気持ちになる実験道具が並んでいて、マニアにはたまらないブースです。普段はあまり目にしないような、不思議なかたちの専門器具もいっぱいあって、どうやって使うものだろう??と想像力を掻き立てられます。ほとんどが耐熱ガラスなので、丈夫で扱いやすいことも理化学ガラスならでは。自分なりの工夫やアイディアで使い方の幅も広がります。

切子がずらりと並ぶ姿は圧巻。お客さんも真剣な目付き。

切子がずらりと並ぶ姿は圧巻。お客さんも真剣な目付き。


そして、なんといっても江戸を代表する職人芸といえば、江戸切子。芸術作品ともいえる繊細で優美な模様の施された切子は、やっぱり人気も高いようで、たくさんの人が訪れていました。目の保養になるような高価なものから、普段使いできる手頃なものまで幅広く揃っています。美しいグラスでお酒を楽しみたいのか、男性客もかなり多く、みんな真剣な目付きで器を吟味していました。

上はトンボ玉を体験中の男の子。きれいな色のガラス棒をまあるく巻きつけていきます。

上はトンボ玉を体験中の男の子。きれいな色のガラス棒をまあるく巻きつけていきます。


ガラスをより身近に感じるための体験コーナーもあります。上の写真はとんぼ玉作り。棒の先のガラスを真剣に見つめながら、丁寧な手さばきで一生懸命ガラス玉を作っていた小学生くらいの男の子。とってもきれいなガラス玉ができあがって嬉しそうでした。左下は、ペンのような電動の削り機で、おはじきを大きくしたような丸いガラスに模様付け体験ができるもの。ちょっと触らせてもらいましたが、手先がブレやすいので、模様を描くのは意外と難しい。下書きをきちんとすること、道具をしっかり握って描くことが大事だそうです。ペン先は丸くなっていて安全なので、小さな子でも気軽に体験できます。そして右下は切子の体験コーナー。縦にぐるぐる回る尖ったローラーにガラスを当ててカットします。職人さんが横に立って丁寧に教えてくれるので、初心者でも大丈夫。奥さまの作っている様子を、ハンディカメラで撮影しているだんなさまの微笑ましい姿がありました。

次回の開催は秋。家族でもカップルでも、また一人でふらりとお散歩がてら覗いても気軽に楽しめる市です。価格もお手頃で、日常使いできそうなものが多いのに、品質が良くバリエーションも豊富。また、様々なガラス作り体験や、職人さんの実演を見学する楽しみもあります。プロが集まって直接販売しているので、ガラスについて分からないことがあれば、すぐ相談できるのも嬉しい。ガラスへの愛着が一層湧いてくる、親しみ深いイベントでした。

◆すみだガラス市
毎年4月と10月の年2回、土日に開催。
次回は2010年10月2日(土)、3日(日)に開催予定。詳細はHPで。
場所:墨田区大横川親水公園「長崎橋跡イベント広場」
JR「錦糸町」駅北口より徒歩5分、半蔵門線「錦糸町」駅より徒歩7分
JR「両国」駅東口より徒歩15分、都営大江戸線「両国」駅より徒歩10分
http://www.tobu-glass.or.jp/menu33.htm
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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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