保健師/保健師とは

保健師ジャーナル 現場の声が伝わってくる専門誌

現役の保健師さん、保健師を目指す人、どちらにもためになる雑誌やWebをご紹介します。第1回目は現場保健師からの投稿、寄稿が豊富な保健師雑誌の草分け「保健師ジャーナル」です。全国各地の保健事業がどのように行われているのかがよくわかります。

西内 義雄

執筆者:西内 義雄

保健師ガイド

現場保健師の信頼が厚い雑誌

これから保健師を目指そうという人にとって大切なのは、保健師の仕事がどのようなものかしっかり理解することだと私は思っています。保健師教育の体制が選択制主流になり、少数精鋭の教育が行われるようになったとはいえ、学校の勉強だけで現場を理解するのはかなり難しく、自ら情報を掴みにいかないと、社会に出てから「保健師ってこんな仕事だったんだ!」と気付くこともよくあるからです。

そこでおすすめしたいのが、現場の保健師たちがよく読んでいる雑誌を参考にすることです。もちろん、読むことをすすめるかぎりは、しっかりした編集方針で作られ、現場から信頼されているものでなければ意味がありません。そういう意味でフィルターにかけると、保健師ジャーナルの名前が浮かびます。

医学系出版社が手がける専門誌

保健師ジャーナルは、保健師ならほとんどの方が知る雑誌です。歴史も古く、1951年に創刊した「保健婦雑誌」からすでに63年もの間、現役の保健師、教育関係者などに親しまれていることも推薦する理由です。*雑誌名が現在の保健師ジャーナルに変わったのは2004年から。

発行元は1944年創業、医学・看護および関連領域の専門書籍・雑誌・電子媒体の出版を手がけている医学書院。その名の通り、医学関連に特化した専門出版社なので、専門家からの信頼も厚く、硬派な出版社として業界では知られています。また、保健師と名の付いた唯一の雑誌であることも、付け加えておきましょう。

編集者と編集委員

同誌の最大の特長は、編集者だけでなく、編集委員と呼ばれる現場の保健師、大学の研究者など専門家も企画を立てているところです。これは創刊当初から貫いている姿勢で、両者の目線を生かすことを大切にしています。

主な読者層は圧倒的に自治体の保健師で、8割ほどが市町村所属といいます。必然的に誌面構成も現場の保健師を意識した内容となり、目次だけみると保健師を目指す学生向けのものはほとんどありません。しかし「保健師魂」などの言葉で表現される、保健師の熱い想いは編集者も編集委員も意識しているので、読み込むほどに保健師の力が伝わってくる内容になっています。

投稿と寄稿

もうひとつ、投稿記事の割合が多いことも特長です。これは記者が取材をして書くものとは違い、研究者や現場保健師が執筆した記事を載せる形態です。もちろん、編集部に送られてきた原稿をそのまま掲載するのではなく、編集者はもちろん、保健の専門家である査読委員による審査を通ったものだけを掲載する形になっています。つまり、投稿で寄せられた記事は、保健師ジャーナルが認めた論文という付加価値もつく形になっています。

なぜこのような形の記事が多いかは、専門職のための専門誌であること。現場に役立つものを求める声が多いことがあげられます。カラーページは巻頭の数ページのみで、ほとんどが2色ページ。写真よりも図版や表が多く、活字が詰まっているのもそのためです。

どこに注目して読んでもらいたいか

投稿ばかりに注目すると、小難しい雑誌と思われるかもしれませんが、あるテーマに対して編集部から専門家にお願いをして書いてもらった寄稿や、編集者によるこだわりの記事もありますので、肩肘張って読む必要はありません。

それどころか、学校の勉強だけでは知ることのできない、現場の深い事情が見えてくる記事が多いので、保健師として働くことのイメージがしやすいはずです。新人はまず母子保健事業に関わりながら仕事を覚えるとの流れが主流でも、ほかにどのような事業(成人、精神、介護など)があるのかを知るツールとしても役立つことでしょう。

また、現役の方には、ほかの地域でどのような活動をしているのかを知るだけでなく、今、自分たちが取組んでいる活動へのヒントも得ることができます。また、活動のエビデンスを見つける意味でも役立ちます。

編集者からのメッセージ

最後に、編集担当者3名からのメッセージをご紹介します。なお、編集者は黒子に徹したいとのことで、名前はイニシャル。画像は同誌イメージキャラクターの「けんけん」と看護Webマガジンキャラクターの「かんかん」が登場しています。

保健師教育が選択制になり、今まで以上に高いモチベーションで保健師になる方が増えてくるはずです。そういう方々にどんどん弊誌に登場していただきたいです。学生さんでも投稿可能ですよ。いつでも受け付けています。(Wさん)

左が「かんかん」、右が「けんけん」

左が「かんかん」、右が「けんけん」

現場からの声を大切にし、紹介していきたいと思います。遠慮なくご投稿ください。私たちの生活環境がよくなるよう、皆様の保健活動を誌面を通じてお手伝いさせていただきたいと思います。(Sさん)

弊社を教科書会社だと思っている看護職の方も多いようですが、保健師ジャーナルは独自路線を貫く、社会と近い雑誌です。記事は私たち編集者はもちろん、編集委員のフィルターを通っていますから、信頼度にも自信があります。(Iさん)

ちなみに、冊子の形だけでなく、電子版の保健師ジャーナルもあります。内容や価格は雑誌と同じですが、過去10年分の記事を読むことができるのが大きな利点です。


(雑誌データ)
発行元:株式会社医学書院
発行部数:9500部
発行日:毎月1回
価格:1512円(年間購読1万5420円)

※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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