40歳になっても衰えを知らないパフォーマンスが高評価を得る
衰えを知らないパフォーマンスが高評価を得てレギュラー奪取。打率はチームトップの.304だ。
イチローは7月6日(日本時間7日)、ミネアポリスで行われたツインズ戦で今季2度目の3安打をマーク。3安打はいずれも初球を左前打したもので、前日に微妙な判定で喫した見逃し三振が伏線にあり、「もちろん、つながっている。全部そう。(3安打目は)最後はスライダーを待っているのに、まっすぐを打っているから」と狙い球と違っても反応する好調さを示した。翌7日(同8日)のインディアンズ戦(クリーブランド)でも4打数3安打1打点。2012年9月以来の2試合連続3安打以上をマークし、これで打率はチームトップの.304だ。
ヤ軍は6日(同7日)、ひとつの決断を下した。イチローと右翼のポジションを分け合っていたアルフォンソ・ソリアーノ外野手(38)を、打率.221、6本塁打、23打点という打撃不振を理由に戦力外とした。昨季途中にカブスから加入したソリアーノは58試合で17本塁打、50打点と活躍。今季は右翼かDHを期待されたが、右投手相手に打率.204と苦しみ、守備面でも不安を露呈していた。
ヤ軍は昨年オフ、エルズベリー、ベルトランの大物を補強。今季開幕前の外野陣は、左翼・ガードナー、中堅・エルズベリー、右翼にベルトランかソリアーノ、DHにソリアーノかベルトランという布陣で、イチローは5番手評価だった。ところがこの日、ソリアーノが打撃不振で戦力外となり、ベルトランは右ひじに故障を抱えているためにDH固定が濃厚で、必然的にイチローが右翼のポジションを確保した。
よく我慢したと言っていい。5番手評価にも腐らず、代打、代走を受け入れ、“本職”の右翼ではなく、左翼、中堅とこなした。試合に出続けることで調子を上げていくタイプのイチローなだけに、調整が難しかったことは言うまでもない。それなのに打率.304を残し、堅実な守備を続け、盗塁も6をマーク。走攻守で高いレベルで力を発揮したことが、レギュラーを奪取した最大要因だろう。
スポーツ専門チャンネルであるESPNも、イチローをこう評価する。「ベルトランが故障を抱え、守れない現状で、40歳のイチロー・スズキが毎試合ライトで先発することになる。今年のイチローは驚くべき発見だった。若返りする必要のあるチームとしては、(イチローの)年齢面から見ると方向性は逆だからだ」。40歳になっても衰えを知らないパフォーマンスが高評価を得た。
6月30日(同7月1日)には、アストロズの選手補強に関する機密文書が流出し、ヤ軍が開幕前にイチローをトレードに出そうとしていたことが発覚した。しかし、今や残留どころか欠かせない戦力に。逆にイチローを欲しがるチームが増える状況となった。