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なぜ裁判員制度の辞退率は上昇?あなたは辞退可能か?

裁判員制度の辞退率が2013年には63.3%に達したとのこと。じわりじわりですが、辞退率が増えており、その割合をみるとかなり多くの人が何かしらの理由により辞退しているのが分かります。果たしてなぜこんなに辞退する人が増えているのでしょうか?また、どういった理由があれば辞退できるのでしょうか。今回は裁判員制度の辞退の実態に迫ります。

伊藤 亮太

執筆者:伊藤 亮太

株式・ファイナンシャルプランナーガイド

辞退が認められた人が60%超という実態

裁判員制度

あなたも裁判員に!?

裁判員制度が始まって5月21日で5年が経過しました。平成26年3月までに裁判員や補充裁判員として参加した人は4万9千人を超え、裁判員裁判で6400人以上の被告人に判決が言い渡されています。

このように数字だけ見ると、裁判員制度がわが国でも浸透してきていると捉えることもできますが、実際はそうでもない点も指摘できます。

それは何かといえば、辞退する人の割合が増加していること。実は裁判員制度当初から辞退が認められる割合は53.1%もあり、半数を超えていました。今はどうかといえば、2013年には63.3%に達したとのこと。じわりじわりですが、辞退率が増えており、その割合をみるとかなり多くの人が何かしらの理由により辞退しているのが分かります。果たしてなぜこんなに辞退する人が増えているのでしょうか?


裁判員の選任手続きに出席しない裁判員候補者も26%

そもそも、裁判員という立場に選ばれても「どうしたらよいかわからない」、「私にはそのような立場は務まらない」と思われている方が多いのではないでしょうか。

よくわからない制度だから不安、やりたくないという声は多いように思います。そうした不安からか、選ばれたにもかかわらず、裁判員の辞退をせず、呼び出しにも応じず裁判員の選任手続きに出席しなかった候補者の割合が増加中。2013年には26%にも至っているのです。

また、実際に裁判員となった女性が、遺体写真を見てストレス障害となり、国を提訴するといった事例も起きており、精神的負担が大きいことも理由として挙げられます。

その他、平均審理日数が8.1日と増えていることも辞退者続出の理由なのかもしれません。特に、仕事をされている方の場合、なかなか時間をあけるのも難しいといえます。

このような理由から辞退者や呼び出しに応じない人が増加しているものと思われます。


裁判員の辞退はどんな人が可能?

それではどんな人が裁判員の辞退をすることができるのでしょうか。

実は裁判員制度は、そもそも特定の職業や立場の人に偏らず、広く国民に参加を求める制度であるため、原則として辞退はできないことになっています。

ただし、法律や政令で下記辞退事由が定められており、裁判所から認められれば辞退は可能となっています。
・70歳以上の人
・地方公共団体の議会の議員(ただし会期中に限る。)
・学生、生徒
・5年以内に裁判員や検察審査員などの職務に従事した人、3年以内に選任予定裁判員に選ばれた人及び1年以内に裁判員候補者として裁判員選任手続の期日に出席した人
・一定のやむを得ない理由があって,裁判員の職務を行うことや裁判所に行くことが困難な人

やむを得ない理由としては、以下のような事例が該当します。
・重い病気又はケガ
・親族・同居人の介護・養育
・事業上の重要な用務を自分で処理しないと著しい損害が生じるおそれがある
・父母の葬式への出席など社会生活上の重要な用務がある
・妊娠中又は出産の日から8週間を経過していない
・重い病気又はケガの治療を受ける親族・同居人の通院・入退院に付き添う必要がある
・妻・娘の出産に立ち会い,又はこれに伴う入退院に付き添う必要がある
・住所・居所が裁判所の管轄区域外の遠隔地にあり,裁判所に行くことが困難である

こうした理由に該当する人が辞退が可能です。一方、単に仕事が忙しいだけでは理由にならないともいえます。

なお、裁判員として参加した人のアンケート調査によれば、95.3%の方が「非常によい経験と感じた」または「よい経験と感じた」と回答されています。選ばれる前は「あまりやりたくなかった」または「やりたくなかった」と回答した人が51.4%ですから、裁判員として活動してみないと裁判員制度の良さがわからないといったことも指摘できるかもしれませんね。

裁判員制度定着、辞退率低下のためにも、今後裁判員制度の意義を更に広め、裁判員となった場合の負担の軽減を図る措置が必要かと思います。果たして今後裁判員制度は根付いていくのでしょうか?
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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