心に住みつく“貧乏神”と決別しよう
藤川太さん
藤川太さん 貧乏から抜け出せない人に共通しているのは、自分のなかに住みつく“貧乏神”と決別できないということです。“変わりたい”と思っているのに、変われない。ですが、本当は、本人が“変わりたくない”と心の中で思っているんですね。習慣や考え方を変えるのは覚悟がいりますし、面倒なことですから。
――“自分のなかの貧乏神”というのは?
ついつい見栄をはってしまう……
――通信費は、工夫次第で大きく下げることが可能な費目ですね。様々な通話アプリやSIMフリーのスマホも出てきていますから、コストダウンの手段は多い。
藤川 ですが、貧乏から抜け出せない人たちは、それを調べて比較検討する手間をかけないケースが多い。普段、スーパーでは安いものを選んで購入するのに、保険などの金融商品や通信費となると、「難しい」「面倒くさい」と、適当に勧められるまま加入してしまう。
お金持ちがお金持ちたるゆえんは、お金に対して非常にマメだからです。しっかり比較して、自分の基準で納得したものを選ぶ。必要のないお金をかけないということも徹底しています。
以前、こんなことがありました。億以上稼いでいる投資家の会合に参加する機会があったのですが、会場は居酒屋の「和民」。おまけに、会計前に、皆が一斉に財布から割引クーポンを出したんですね。「安くなる術があるのに、わざわざ高い金払うのは悔しいから」と。
たとえ億万長者であっても、小さなお金を雑に考えず、事前に割引の手段をチェックするひと手間を惜しまない。よく、“お金は寂しがりやだからお金のあるところに集まる”などといいますが、彼らは常にお金のことを考えているのですから、お金にとって居心地がいいのも当然です。どうしたらお金に好かれるのかを勉強し、常に考えながら実行する。お金持ちが異性にモテるのは、お金があるからだけではなく、マメで細やかな配慮ができる人が多いからではないかと思いますね。
――お金に対してどれだけ真剣になれるかということでしょうね。
藤川 ほかにも“貧乏をもたらす習慣”として挙げられるのが、ひとつの失敗に固執しすぎるあまり、結果的に大きな損失を許してしまうというケース。例えば、家計がどうしても立ち行かなくなったときというのは、家を手放すという選択肢も考えなくてはいけません。でも、「この家を手放したら二度と買えない」と思い込んで、皆さん必死で抵抗します。もちろん気持ちはよく分かりますが、もう少し早く手放すことを決断していれば破綻しなくて済んだケースをたくさん見てきました。自信がないから復活のイメージができないんですね。でも、お金持ちは、一回撤退してからもう一度仕切り直すという判断をするんですね。
――切り替えが早い?
お金持ち体質は失敗に固執しない
失敗も次のチャンスにできるのがお金持ちになれる人
目先のことにとらわれず、冷静で合理的な判断を下すことが大切です。ほかにも、大事な事を先送りしてしまう、楽して儲けようとしすぎるというのも、貧乏をもたらす習慣や考え方。車やブランド品など、あきらかに家計の負担になっている支出を“自分にとって必要だから”と正当化して聖域にしてしまう人もいます。ですが、環境が激しく変化している今のような時代に自分を変えられない人は、今後厳しくなる。柔軟な発想で対応していく必要がありますね。
ただ、ひとくくりに“お金持ち”といっても、高収入な人と資産家の人では、行動や見た目などに、少々違いがあるケースも。例えば、外見にしても、高収入の人は仕立てのいいスーツなどを好み、パリッとした格好をしている人が多いのに対し、大金持ちと呼ばれる資産家の場合は、意外と見た目にこだわらない人も少なくない。努力の結果、高い収入を得てそれを維持していかないといけない人たちは、自分をどう演出するかを常に考えるのでしょう。そこは、もはや他人の評価など気にする必要がないほど安全圏に入っている資産家の人たちとは違うのかもしれません。もちろん一概にはいえませんが、少なくとも私が見たケースでは、そういった人たちが多かったですね。
★次は藤川さんに、アベノミクスの乗り切り方をお伺いします
教えてくれたのは…
藤川太さん
ファイナンシャル・プランナー。All About 資産運用ガイド。「家計の見直し相談センター」で10年以上にわたり1万5000世帯を超える家計の見直しを行ってきた。資産運用、家計管理、マイホーム購入、不動産投資などに精通。「普通の人」でもお金を貯める・増やせるようになる方法をアドバイスするFP。
取材・文/西尾英子