年末までに1万円以上のお得をゲット!
auWALLETカードでお買い物
ここまで関心が高まるとは誰も予想しませんでしたが、その成功の秘密は、様々なポイントキャンペーンにあるといえます。6月30日までにau WALLET カードを申し込むと、9月30日までの初回チャージ(上限2万5000円)で10%増額、12月末までじぶん銀行口座からの1回5000円以上のチャージで5%増額(月10回まで)、auショップの専用端末「au WALLET ウェルカムガチャ!」へのタッチで5~3000ポイント付与と、年末までに、チャージと来店ポイントで、うまくすると、1万円以上のお得をゲットできます。
マスターカードのネットワークを使った汎用性の高さも人気に拍車!
しかし、それ以上に利用者が支持したのは、その使い勝手の良さではなかったかと私はみています。他の電子マネーの加盟店は最大でも37万店(国内限定)ほどなのに対して、au WALLETは、手にしたその時から、世界約3810万店(※)で利用できるからです。一部のガソリンスタンドやタクシーを除いて、マスターカードの加盟店なら世界中どこでも使えるというこの利便性が受けているのです。非接触型ICカード「フェリカ」は最新技術だけど加盟店が少ない
じつは、au WALLETは同じ電子マネーといっても、これまでのものとはちょっと違います。すでにわが国にはたくさんの電子マネーが出回っています。Suica、楽天Edy、nanaco、WAONなど主要なもので10種類ほどありますが、それらはみな非接触ICカード「フェリカ」を使用しています。かざすだけで決済できるのはその最新技術のおかげなのですが、その普及は、思ったようには進んでいません。たとえば、楽天Edyはほとんどのコンビニで利用できますが、それでも加盟店数としては、まだ37万3000店ほどです。すべての小売店で使えるというところまでには到っていません。
その原因は、導入費用が高いことにあります。もともと「フェリカ」の技術はソニーが開発したものですが、日本だけの独自規格でほとんど日本でしか使われな いために、量産がきかずコストが下がらないからです。そのために、多くの店が高い端末を購入する結果になっています。数年前までは一台10万円近くもした ので、最先端技術の好きな限られた店しか対応できなかったのです。
「先進性」より「使いやすさ」を取ったau!
一方のau WALLETは、クレジットカードと同じ磁気ストライプを使って、マスターカードの既存のインフラを利用してプリペイト方式で買い物をする電子マネーです。ちょっと古くさいタイプの電子マネーなのですが、カードをもった瞬間から、世界約3810万店で利用できるという汎用性があります(既存の加盟店は新規投資や手続きも不要)。auも最初から望んでこの方式を採用したのではないといわれています。大きなシェアを持つiPhoneにはフェリカもNFCも搭載できないために、やむなく他の方法をとらざるをえなかったのです。
そこで、目をつけたのがすでにあるマスターカードのインフラを使う方法です。すでに出来上がったインフラを使うわけですから、安易という見方もありましたが、あえてauはこの道を選びました。プラスチックカードとクレジットカードのインフラを借りたわけですから先進性に欠けた出来合いのものというイメージがあったのですが、却ってこれが成功しました。カードとクレジットの道具立てというその馴染み深さが受けたのです。
顧客ニーズが第一という考え方に転換して成功!
auは非接触型ICが格好よいからとか、フェリカやNFCといった世界の最先端の技術だからという「上から目線」の考えではなく、いますぐそこにある技術を使ってとりあえず電子マネー的な取り引きができればよいという顧客サイドに立った目線に転換したから、利用者の支持を受けたのです。au WALLETの成功はまさにこの点にあるのです。技術偏重ではなく、顧客のニーズに合わせたサービスに徹したことが成功の秘密だったといえるでしょう。「すべては顧客のため」。この辺にもauという企業の特色がでているように思います。
※参考: Nilson Report 2014年3月号