地震のイメージ写真

東日本大震災から3年以上が経過しても、その爪あとはなくならない。

東日本大震災の発生から早いもので3年以上が経過しました。しかし、その爪あとが完全に払拭されるには、まだまだ時間がかかりそうです。

復興庁によると、震災による避難者数は全国で約25万1000人(2014年6月12日現在)にのぼり、2年前(2012年6月:約34万7000人)からは10万人近く減ってはいるものの、まだまだ相当数の人々が仮設住宅や民間賃貸住宅での避難生活を余儀なくされています。

しかも、報道によると一部の仮設住宅では天井がはがれたり床が沈んだりと、建物の老朽化が深刻になっているといいます。仮設である以上、経年により一定の不具合が生じるのは無理もないのかもしれませんが、居住者の生活に支障が出るようでは気の毒でなりません。

気の毒といえば、先の大地震によって埋立地などの一戸建て住宅を中心に地盤の液状化が多発し、9都県・80市町村区で合計およそ2万7000棟(国土交通省)が沈んだり傾くなどの被害に遭っています。地震が発生すると繰り返される振動によって地中の地下水の圧力が高くなり、その結果、平時は結びついている砂の粒子がバラバラとなって地下水に浮いたような状態になります。これが液状化です。

マンホールの写真

巨大地震で浮き上がるマンホール

私ガイドは東日本大震災で初めて液状化現象を目の当たりにしました。下水道のマンホールが浮き上がった光景は、実にショッキングでした。震災直後、テレビから繰り返し流される被害映像を見るたび、巨大地震の恐ろしさを痛感させられました(右の写真)。

それだけに、両親宅の新築工事では地盤調査の必要性を強く感じました。建築場所は東京都杉並区内のため、臨海部からは相当離れています。しかし、大震災では震源地から離れた都内の内陸部でも、以前に池や水田を埋め立てた場所や河川沿いで液状化被害が散見されました。折りしも、現場から直線距離で50メートル程度東側に神田川が流れているのです。「♪あなたは、もう忘れたかしら…」の歌詞で知られる、あの神田川です。

建設現場付近の神田川の流れは決して激しくはありませんが、それでも河川に近いということで、地中から水位が確認されないか気になりました。地盤調査会社による調査の結果が待ち望まれました。

液状化の可能性は低減  しかし、地盤強度に耐力不足が判明 

地盤改良工事の写真

強度に耐力不足が判明した地盤を掘削し、柱状体を施工している様子

建物の設計にあたり、地盤調査は欠かせません。両親宅では昨年10月に調査が実施され、解析の結果、地下水位は確認されませんでした。スウェーデン式サウンディング試験により敷地の5カ所を調べましたが、5カ所いずれも水位は確認されませんでした。この敷地は宅地化する前は畑として使用されていたため、その点でも液状化が気になりましたが、どうやら過剰な心配は必要なさそうです。

しかし、地盤強度に耐力不足があることが判明しました。表層は盛土、その下部は粘性土層という地盤構成を呈していたのです。自沈層という弱い地盤が3.5メートルほど連続していました。

地盤工事の写真

施工された直径50センチの柱状体が3本並んでいる様子

そこで、不同沈下を起こさないよう、「ソイルセメントコラム」(柱状改良)という工法で地盤改良が行なわれました。この工法は敷地を掘削しながらセメントミルク(セメント系固化材と水を混ぜたもの)を地中に注入し、かくはん・混合することで土を締め固めながら、柱型の柱状体(杭のようなもの)を地中に作って沈下を防止します。工事後、地中で固まった柱状体の回りに発生する摩擦力と下部に発生する支持力の両方により、建物の沈み込みを防ぐ工法です。

今回の改良工事では直径50センチメートルの柱状体を最深5メートルまで合計23本施工しました。基礎の立ち上がり部分の下に、おおむね1.8メートル間隔で施工しています。工期はわずか1日半でした。これにより、建物の安定性・安全性が大きく向上しました。

☆印

 

東京圏では首都直下地震の切迫性が高まっており、西日本の太平洋沿岸では南海トラフ巨大地震の発生が現実味を帯びています。天災は忘れた頃にやって来ると言われるように、地盤の安定性が建物の安全性に結びつくことを思い出さなければなりません。

次回(第8回)は基礎工事について、両親宅での実際の工事状況を具体的にご紹介します。


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