肝臓とアルコールの関係とは

肝臓

肝臓はアルコールを解毒する働きがあります

肝臓は生体の化学工場です。肝臓には以下のように大きく3つの働きがあります。
  • 糖・蛋白質・脂肪を体内で使える形にして貯蔵し、必要な時にエネルギーのもととして供給します
  • 消化液である胆汁を生成・分泌します
  • アルコールや老廃物などの有害な物質を無害な物質に変化させます
アルコールは体内に入るとアセトアルデヒドという有害な物質に変化します。ですので、生体の化学工場である肝臓で、この有害なアセトアルデヒドを無害な酢酸に変化させなければなりません。アルコールの量が多いほど、工場である肝臓はフル稼働で働いています。

アルコールが肝障害を起こすメカニズム

化学工場である肝臓の能力がアセトアルデヒドを処理できる能力があれば問題ありません。しかし、大量のアルコールを処理する場合は、肝臓の仕事量をさらに増やさなければなりません。アセトアルデヒドの処理が不十分であると、生体内の蛋白質や脂質を変化させ肝臓を障害します。さらにアルコールは有害なフリーラジカル(活性酸素)の生成を促し、細胞を傷つけます。

肝臓自体は再生能力の高い臓器です。たとえば、手術で3/4切除しても、元の大きさまで再生する能力があります。しかし、アルコールによる障害が長く続くと、ボディーブローのようにジワジワと効いてきます。脂肪肝、アルコール性肝炎、肝硬変と不幸の階段を降りていきます。肝硬変まで行き着くと、さすがの肝臓も再生能力はなくなり元に戻ることはできません。黄疸や腹水、脳症などの症状が出現し、通常の日常生活を送ることが困難になります。

壊している画像

連日の過剰飲酒により一気に肝不全となります

また、一発で肝臓がノックアウトされることがあります。それが重症型アルコール性肝炎です。連日大量のアルコールを飲み続けることで引き起こされます。例えていうとエンジンがオーバーヒートしてしまって、動かなくなってしまうようなものです。肝臓が機能しない肝不全という状態になります。

重症型アルコール性肝炎とは

重症型アルコール性肝炎は、アルコール性肝炎が急激に悪化した場合に起こります。食欲不振や全身倦怠感などの症状と共に、黄疸や腹水を生じます。指標としては、劇症肝炎と同じように肝臓で生成されるプロトロンビンを用います。重症型アルコール性肝炎では、プロトロンビン時間が50%以下に低下します。

重症型アルコール性肝炎は、脳症や肺炎、腎不全、消化管出血、エンドトキシン血症などの合併症を起こしやすく、多臓器不全を呈してくることが特徴的とされています。この病気になると1ヵ月以内に死亡することが多く、死亡率も高率です。最近の報告でも、救命率は30%程度とされています。

重症型アルコール性肝炎の原因

通常飲酒家がさらに過剰の飲酒を連日することが引き起こされます。重症型アルコール性肝炎は発症1ヵ月前の連日の過剰飲酒が特徴です。以前は男性の方がほとんどでしたが、近年は女性が急増しています。背景には、女性の社会進出に伴い女性一人当りの飲酒量が増加していること、女性は少量かつ短期間で肝障害を起こすことが挙げられます。

女性が少量で肝障害を起こす理由としては、男性より体が小さいこと、アルコールを分解する酵素の性差、女性ホルモンの影響などが考えられています。最近の統計では、重症型アルコール性肝炎の30%は女性となっています。

重症型アルコール性肝炎の治療

お酒を飲んでいる女性たち

アルコールは適度に楽しみましょう

重症型アルコール性肝炎の治療は、血漿交換やステロイド治療などが行われることがありますが、確立した治療法はなく治療が困難な病気です。ですので、重症型アルコール性肝炎まで至る前に予防しなければなりません。

アルコール性肝炎の治療は禁酒です。禁酒することが難しければ、最低でも休肝日を作りましょう。アルコールの適量には個人差がありますが、社団法人アルコール健康医学協会では、1日に約1~2単位のお酒を限度とするようにすすめています。1単位は、ビールであれば中ビン1本、日本酒なら1合、ワインなら1/4本ぐらいです。お酒に弱い人や女性は、この基準より控えめがいいでしょう。




※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※当サイトにおける医師・医療従事者等による情報の提供は、診断・治療行為ではありません。診断・治療を必要とする方は、適切な医療機関での受診をおすすめいたします。記事内容は執筆者個人の見解によるものであり、全ての方への有効性を保証するものではありません。当サイトで提供する情報に基づいて被ったいかなる損害についても、当社、各ガイド、その他当社と契約した情報提供者は一切の責任を負いかねます。
免責事項