16年ぶりの高水準!社債発行企業の顔ぶれは多彩
2014年上半期(1月~6月)の社債の発行は、約120社、本数にして230本にのぼり、1998年上半期以来の高水準になる見通しです。社債の発行が急増している背景は、収益力の取り戻したことにより、企業が信用力を回復したことにあること。同時に、長期金利が低位安定していることにあるようです。日本銀行の異次元緩和により物価は順調に上昇しているものの、長期金利は日本銀行の多額の買い入れにより0.6%前後で低位安定していることが要因と考えられます。
長期金利の低位安定は、社債を発行する企業にとっては低金利の資金調達ができる反面、資金を運用する機関投資家などは、少しでも高い金利を求めて社債投資に資金を向けざるを得ません。結果として16年振りの高水準の発行となっても、苦もなく社債が消化できてしまうことが企業に社債の発行を増やすインセンティブになっているようです。
2014年6月には、楽天、サントリー食品が初の起債、三菱電機が4年半ぶり、島津製作所が6年3ヵ月振りに起債などというように、社債を発行する企業の顔ぶれが多彩になっているのが特徴です。
個人向け社債は今後に期待
社債の発行が急増していることから、安全確実に運用したい資金の預入先として個人向け社債に期待したいところです。インターネット銀行などでは、夏のキャンペーンを始めていますが、定期預金金利は昨冬とほとんど変わっていません。1年物定期預金金利で0.20~0.40%程度、地方銀行のインターネット支店の1年物定期預金金利もほぼ0.40%に過ぎず、0.5%超の金利を聞くことがほとんどないからです。
ただ、社債の発行が急増しているものの、個人向け社債の発行はやっと増えつつあるという状況に過ぎません。2014年6月に発行された個人向け社債を列挙すると、オリックス7年債、利率0.552%、東海東京フィナンシャル・ホールディングス1年債、利率0.42%、東北電力5年債、利率0.40%、楽天3年債、利率0.38%となっています。東北電力だけが額面10万円から購入でき、残りは額面100万円(東海東京フィナンシャル・ホールディングスは100万円以上10万円単位)からでした。
2014年6月23日現在、4社の個人向け社債の発行となっていますが、償還期間が預貯金よりも長い割には金利が魅力的とは言いにくい状況です。条件の良い個人向け社債が発行されるのを根気よく待つべきでしょう。なぜなら、5月にはソフトバンクが5年債、利率1.45%を発行しているからです。
最後に、2014年6月募集の個人向け国債、新窓販国債の発行条件も記載しておきます。
個人向け国債3年物、利率0.07%、同5年物、利率0.14%、同10年物0.40%(変動金利)。新窓販国債2年物、利率0.1%、同5年物、利率0.20%、同10年物利率0.60%となっています。社債よりも信用力が高い分、その適用利率は低くなっています。
個人向け国債を購入するのであれば、2014年7月募集を含め、当面の間は変動10に限ると思います。それも、個人向け国債購入時にキャンペーンを行っている金融機関で購入されると良いでしょう。
ただし、キャンペーンの対象となる金額以上を購入する場合となりますが……。キャンペーンの金額を残念ながら満たせない場合は、使い勝手の良い金融機関で購入するのがよいでしょう。