ワーホリと語学
ワーキング・ホリデーでどれだけ語学力がアップするのか?渡航を検討中の皆さんにはとても気になることなはず。今回は対象を英語に絞り、一般社団法人JAOS海外留学協議会が平成25年度に実施した調査データ*をもとにお伝えします。*平成25年度に同団体が実施した「海外就業体験が若年者の職業能力開発・キャリア形成に及ぼす影響に関する調査研究」の結果の一部を取りまとめたものです(調査方法は文末でご確認ください)。
ワーホリや海外インターンで得るものとは?
同調査では、ワーキング・ホリデーや海外インターンなど海外就業体験を通じて体験者が何を得たのかを尋ねています。その中で、80%もの体験者が「習得できた」と感じているのが、「国際感覚・異文化適応能力」「幅広い視野」「外国語能力」「コミュニケーション能力(人と接する力)」「積極性」の項目でした。
どれも海外で習得することのできる素晴らしい能力なのですが、いざ再就職の段階になると、「外国語能力」を除いては達成状況を数値化することができないため、現状では選考のモノサシとしてTOEICのスコアが重要視されています。
ワーホリ経験者は平均107.3点アップ!
調査では、ワーキング・ホリデー体験者の帰国後1年以内のTOEICスコア平均点は731.4点であり、渡航前平均点624.1点に比べ、107.3点向上していることが報告されています。なお、平成16年度には「財団法人海外職業訓練協会」によって、インターネット環境を用いない別の方法で調査が行われていますが、帰国後のスコアは平均で109.4点向上(渡航前557.5点、帰国後666.9点)しており、同じような結果となっています。
図表1は、ワーキング・ホリデーを体験する前と後でのスコアの変化を示しています。体験前(渡航前)では729点までのスコアの方で全体の70%が占められていましたが、体験後(帰国後)では、半数以上の方が730点以上のスコアを獲得しています。
500点未満の78%が150点以上のスコアアップ!
TOEIC 107.3点アップという数字は平均値であるため、当然、スコアが伸びた人もいれば、伸びなかった人もいることになります。例えば図2では、渡航前にTOEIC400~499点だった方の78.3%以上が150点以上スコアアップし(しかも49.5%は250点以上)、TOEIC500~599点、600~699点では51%前後が150点以上スコアを伸ばしていることがわかります。
既に700~799点のスコアがある人でも58.4%が100点以上積みしていることにも注目すべきでしょう。
すべてのワーホリ渡航者にチャンス!
こうして報告書のデータだけを見ると、ワーキング・ホリデーに行けばTOEICのスコアが上がるように思うかもしれませんが、そういうわけではありません。ワーホリ成功者の行動特性として、出発前に1年間に何をすべきか目標を定めていたり、積極的に現地のコミュニティに入ろうとしたりと、自己のキァリア形成を意識した行動に努めていたというデータも報告されています。ただ、それらは決して難しいことではありませんので、すべてのワーホリ渡航者にチャンスがあると言えるでしょう。
2014年4月~2015年3月の期間、厚生労働省の委託事業で「Global- ACE」という、海外で仕事をする人に対するキャリアサポートが行われています。有資格のキァリアカウンセラーが、出発前から渡航中、帰国後に亘ってスカイプにて無料でキァリア相談を実施しています。渡航計画のある方は是非こちらをご確認ください。
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*調査方法
ワーキング・ホリデーや海外インターンシップなどにより、海外就業体験を行ったことのある対象者にアンケート調査を実施。対象者の抽出は、出国時に35歳未満であり過去10年以内に帰国したことを条件としています。
【実施方法】マクロミルのモニタ(登録数1,151,550名)に対するインターネット調査
【実施期間】2013年11月22日~11月30日
【有効回答数】1,583件