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金沢21世紀美術館(石川県金沢市):レアンドロ・エルリッヒ ―ありきたりの?
金沢21世紀美術館が開館して2014年でちょうど10年。妹島和世+西沢立衛/SANAAが設計した美術館は、国内外から多くの観光客が訪れるようになり、いまでは日本を代表する美術館となりました。
この美術館で、もっとも親しまれている作品の一つが《スイミング・プール》。プールを模した作品は、外から中を覗きこんだり、あるいは内部から外を見上げる行為を通じて、普段とはちょっと違う感覚を体験できるもの。この「ちょっと違う感覚」が、自分の感情を揺さぶっていることに気づくと、アート作品だけでなく、世の中のあらゆるちょっと違うものが、すべて楽しく感じられるようになってくるはず。
この《スイミング・プール》を作ったのが、アルゼンチン出身、ウルグアイ在住のアーティスト、レアンドロ・エルリッヒ。1973年生まれの彼は日本でもその人気が高く、大地の芸術祭越後妻有アートトリエンナーレや、瀬戸内国際芸術祭をはじめ、さまざまな場所で作品を発表しています。
この展覧会は、彼の日本での初めての個展。最新作を含む12点の作品を紹介していきます。
展覧会のタイトルのとおり、エルリッヒは私達が普段見ている「ありきたり」の風景を、少しだけ変化させて作品にし続けています。たとえば《雲》は12枚のガラスにプリントされた彫刻作品。ガラスにプリントされた雲の像が重なりあって、本当に浮遊しているかのよう。
いつも見ているものをほんのすこしだけ、角度や見方を変えることで、感じ取ることが大きく変わることがわかってくる展覧会です。
■DATA 金沢21世紀美術館(石川県金沢市):レアンドロ・エルリッヒ ―ありきたりの?
展覧会名称:レアンドロ・エルリッヒ ―ありきたりの?
会場:金沢21世紀美術館
会期:2014年5月3日(土・祝) ~8月31日(日)
開場時間: 10:00~18:00
※金曜日、土曜日は20:00まで開場
休場日: 月曜日
※祝休日の場合は開館、翌平日休館
Web: www.kanazawa21.jp/
じめじめした日が続きますが、そんな日こそ美術館でさわやかに気分転換していきましょう!