必然的リスクを軽減するために「やりきる」

3対1でコスタリカに快勝した日本代表。この勝利からW杯に向けた3つの好材料も見えてきた。

3対1でコスタリカに快勝した日本代表。この勝利からW杯に向けた3つの好材料も見えてきた。

ザックことアルベルト・ザッケローニ監督率いる日本代表は、自分たちで主導権を握るサッカーを標榜してきた。来るべきブラジルW杯においても、チームの方向性に変わりはない。

ボールを持つ時間が長ければ、失う可能性も高まる。カウンターアタックに優れる相手や、独力で局面を打開できるストライカーを擁するチームが相手になると、ワンチャンスを生かされて失点するリスクを内包する。そして、W杯に出場してくるチームなら、そうした強みを持っているものだ。

チームのスタイルがもたらす必然的リスクを軽減するには、攻撃をやりきることが重要だ。クロスやシュートで終えれば、複数の選手がまとめて置き去りにされる可能性は低くなる。

コスタリカ戦の日本は、その意味で悪くなかった。前半からチャンスを生かし切れなかった印象はあるが、裏返せば敵陣深くまで攻め込んでいたということである。中盤や自陣で横パスやバックパスを引っかけられ、バランスが乱れた状態で相手の攻撃を受けるシーンは、さほど多くなかった。攻撃をしながら守備のリスクマネジメントができていたのは、ひとつ目の好材料にあげられる。


W杯を見据えたラスト10分の時間帯

ふたつ目は時間の使い方だ。

1対1で迎えた80分、日本は香川真司(25歳・マンチェスター・ユナイテッド/イングランド)のゴールで逆転した。残り時間は10分である。W杯のグループステージを想定すれば、このまま逃げ切りをはかるべき展開だ。

果たして日本は、必要以上に前がかりになることなく、試合終了へ向かっていった。残り時間で相手に決定的なシーンを与えず、ワンチャンスを生かして柿谷曜一朗(24歳・セレッソ大阪)がダメ押しの3点目をゲットした。W杯に当てはめれば、勝点3を確保しつつ、得失点差をさらにプラスへ持っていったのだ。申し分のない試合展開である。


香川と柿谷のゴールがもたらすもの

3つ目の好材料は、得点者が示している。

23人のメンバーが発表された5月12日時点で、攻撃陣でもっとも期待を寄せられていたのは岡崎慎司(28歳・マインツ/ドイツ)だった。欧州主要リーグで日本人最多の15ゴールをたたき出した実績は、ブラジルでの活躍を予感させる。同時に、彼に寄せられる大きな期待は、所属クラブで無得点に終わった香川と、昨シーズンの爆発力が影を潜める柿谷への不安の裏返しでもあった。

そのふたりが、揃ってゴールを記録した。しかも、それぞれの特徴が発揮された流れから。

決めるべき選手の得点は、チーム全体に勢いを呼び込む。背番号10と11の得点は、コスタリカ戦で得た収穫にあげられる。


本田と長谷部にも不安なし!

チーム全体の流れに、乗り切れていない選手もいる。本田圭佑(27歳・ACミラン/イタリア)だ。

この試合では、遠藤保仁(34歳・ガンバ大阪)の同点弾をアシストするなど彼らしいプレーはあったが、本領を発揮したとは言い難い。好調時に比べると、パフォーマンスに波があるのだ。

とはいえ、深刻に受け止めることはない。

全員がコンディションのピークでW杯開幕を迎えるのは、実はあまりいいことではない。ピークに達したコンディションは、やがて緩やかに下降していく。全員のコンディションがあまりに揃い過ぎると、同じタイミングで調子を落としていくことになりかねない。それなりの水準に達しているなかで、選手によって少なからずバラつきがあるのは、悪いことばかりではないのである。

コスタリカ戦では、キャプテンの長谷部誠(30歳・1.FCニュルンベルク/ドイツ)がベンチからも外れた。彼と遠藤が不動のコンビを組んできたダブルボランチでは、山口蛍(23歳・セレッソ大阪)が台頭している。

昨年11月から5試合連続スタメンとなったコスタリカ戦でも、山口は持ち前のボール奪取能力を見せつけた。周囲とのコンビネーションもスムーズで、W杯でも先発を任せていいくらいだ。

その一方で、ボランチは警告を受ける可能性の高いポジションだ。チームが勝ち進んでいく代償として、山口が出場停止となるかもしれない。遠藤、長谷部、山口に青山敏弘(28歳・サンフレッチェ広島)を加えた競争の激化は、歓迎すべき事実なのだ。経験豊富な長谷部であれば、ザックの要求にこたえるための準備を整えるはずである。

日本が5人の選手を交代したのに対して、コスタリカは3人しか代えなかった。彼我の疲労度の違いが終盤の逆転勝利につながったのは事実だが、それにしても評価できる要素はある。W杯開幕まで10日ほどとなった現時点で、大きな不安は見当たらない。


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