年収200万円時代に考えるお金サバイバル術/藤原和博さんの「新」人生論!家計サバイバルの方法

個人間取引で消費税20%時代をサバイバルする

「少ない年収で幸せに生きるには、頭の柔らかさや賢さが必要」と言うのは教育改革実践家の藤原和博さん。コストを抑えながら満足度の高いお金の使い方についてレクチャーしていただきます。

あるじゃん 編集部

執筆者:あるじゃん 編集部

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個人間取引なら増税も関係なし

藤原和博さんundefined撮影/(C)IHA

藤原和博さん 撮影/(C)IHA

リクルートのトップセールスマンを経て、民間初の校長に転身――。様々な改革を実践してきた藤原和博さんに、全7回にわたって、年収200万円時代を“幸せに”サバイバルするための戦略を指南してもらいました。第2回目の記事『35歳以下の生き延びる方法、同居とダブルインカム』から続きます。

――4月から消費税が上がり、さらに来年10月には10%への引き上げが予定されています。増税による支出増にどう対応すればいいでしょうか?

藤原和博さん 消費税は2020年代には15%くらいになると思うし、いずれは25%くらいまで上がるでしょう。私が15年前から言い続けているのは、「個人間取引を活用して、お金を介在させない生き方をしよう」ということ。

欧米では個人間取引が非常に盛んです。それはなぜか。高い税金分を浮かせるためです。特にヨーロッパでは20%前後の消費税がかかりますから、彼らはまず、ネットや個人間取引の情報誌で売り買いできる相手をさがし、それがダメだった場合、業者に頼むんですね。各都市にローカルのネットワークがあって、求人から車・オートバイ・家など、あらゆるモノの個人取引や出会いの募集が盛んに行われています。

実は日本にもそういう時代が来ると感じて、95年にリクルートから個人間取引の情報誌『じゃマール』を立ち上げました。一時は100万部までいったけれど、想像よりもネットに移行するスピードが早く、その後登場したiモードとヤフオクにシェアを奪われてしまった。結局、2000年に休刊しました。

――ちょうどネットオークションが登場した頃ですね。

藤原 最近、ヤフオクも消費税がかからないことをCMでアピールしているけれど、消費税がいよいよ10%を超えてきたら個人間取引はもっと盛んになると思う。それがさらにすすめば、日本人のライフスタイルも変化していくはずです。例えば、欧米には個人間取引の究極技ともいえる「旅行の間、互いの家を交換する」というものもあるんですよ。

海外旅行の宿泊代をタダにできる?

――家をそのまま交換するのですか?

藤原 旅行の期間中、自分の住居と相手の住居をスワップするんです。例えば、パリに住んでいる家族がロサンゼルスに旅行に行く場合、その期間中にパリに旅行する家族をネットで集って、家を入れ替える。仮に、アッパーミドル層の家族5人がパリでそこそこ良いホテルに泊まれば、総額100万円の宿泊費がかかるけれど、このスワップを使えばタダで済むわけです。

――合理的ですね。ただ、日本人の感覚としては、防犯面が気になってしまいますが…。

藤原 彼らも本当に大切なモノは倉庫に入れておくといった対策はとるようです。ただ基本的には、多少モノを壊されたとしてもそれは「お互い様」という考え方。ヨーロッパではずいぶん前から行われているので、みな慣れているんですね。今、日本はホテル全盛だけれど、「日本の田舎の古屋に泊まってみたい」という欧米人だって、たくさんいると思います。あまり海外旅行に縁がなかった田舎の人たちも、こういったホームエクスチェンジを使えば、格安で海外旅行に行くことだってできるわけです。

インターネットというツールができたことで、いろんなマッチングが可能になりました。それを柔軟な頭で賢く活用できる人だけがトクをするというわけです。

何かを欲しいと思ったら、個人から買うか、もしくは交換する。お互いが納得すれば、まったく別のモノを交換したっていいわけだし、価値が揃わないなら差額を払うという手もあります。自分の持ちものすべてが取引商品だと考えて、賢く利用したいものです。

――新たなビジネスチャンスにもつながりそうですね。

藤原 個人売買のマッチングや、高いモノに保証を付けるなど、法律的な業務ができるエージェントも出てくるでしょうね。あらゆるジャンルで“目利き”が必要になれば、アドバイザーやキュレーターを仕事にする人も必要でしょう。自分がそういった存在になってお金を稼ぐという方法もありますね。

★第4回目のインタビューでは30代のお金不安の解消法について藤原さんが解説します

教えてくれたのは……
藤原和博(ふじはら かずひろ)さん
教育改革実践家/杉並区立和田中学校・元校長/元リクルート社フェロー

1955年東京生まれ。78年東京大学経済学部卒業後、株式会社リクルート入社。東京営業統括部長、新規事業担当部長などを歴任後、93年よりヨーロッパ駐在、96年同社フェローとなる。2003年より5年間、都内では義務教育初の民間校長として杉並区立和田中学校校長を務める。08年~11年、橋下大阪府知事の特別顧問、14年~佐賀県武雄市の教育政策特別顧問に。キャリア教育の本質を問う[よのなか]科が話題に。詳しいプロフィールはホームページにて「よのなかnet」http://yononaka.net

『人生の教科書[よのなかのルール]』『人生の教科書[人間関係]』(ちくま文庫)など人生の教科書シリーズ、ビジネス系では『リクルートという奇跡』、情報編集力の本質を和田中での改革ドキュメントとともに解説した『つなげる力』(ともに文春文庫)、『35歳の教科書―今から始める戦略的人生計画』『藤原和博の必ず食える1%の人になる方法』など著書多数。最新刊はコミュニケーションと対人関係が苦手な日本人のための手引き『もう、その話し方では通じません』(中経出版)。

取材・文/西尾英子 パネルデザイン/引間良基

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