外資カジノ企業は躊躇無く4~5千億円程度を投資する準備がある
仮に日本でカジノ解禁されるとして、何社に、そして具体的にどこの企業にライセンス(カジノ運営権)が与えられるのかは現時点で不明です。恐らく、着々と準備を進めている日本のコナミ<9766>、或いはセガサミーホールディングス<6460>あたりと、上述の米国企業のいずれかが合弁で事業を立ち上げるのではないかと思いますが、具体的には分かりません。
また米国以外の香港、豪州、シンガポールのカジノ企業からも日本へ熱い打診が入っています。わかっているのは、これら全ての候補企業が日本市場に絶大な魅力を感じており、躊躇無く4~5千億円程度を投資する準備があるということだけです。幾らお金をかけたとしても恐らく1~2年以内に回収できる可能性が大です。マカオでのラスベガスサンズ社は10ヶ月で初期投資を回収しました。
ここでは日本でカジノをオープンさせるのは上記米国5社のうちの1~2社と想定し、候補を絞り込んでみたいと思います。
カジノ運営企業の明暗を分けたマカオ進出
5年間の株価推移を見ると、マカオへの露出度合いが勝敗を分けています。ラスベガスサンズ(LVS)社がマカオに初進出したのは2004年の事で、2006年にマカオ全体で始めてラスベガス市場を抜く8000億円規模となりました。そして2013年マカオはラスベガスの7倍となる4兆7600億円のカジノ市場となり、米国カジノ企業の売上、利益の7~8割はマカオ事業からのものとなりました。株式市場での最大の勝者はマカオで4つもカジノホテル運営に成功したラスベガスサンズ社です。メルコクラウン(MPEL)は2つ目のホテルがマカオで開業した後から株価が伸び出しました。ウィン・リゾーツ(WYNN)とMGMリゾーツ(MGM)はそれぞれ1ヶ所しかマカオでカジノホテルを開業できておらず、マカオ市場からフルに利益を得ていません。2012年に新規上場したシーザーズ・エンターテインメント(CZR)社はマカオに進出しておらず、低成長の米国内とロンドンのみの露出であるため、株価も上がっていません。
時価総額でも618億ドルのラスベガスサンズ社が群を抜いています。ちなみに同社が最大株主として出資する子会社でマカオ事業部門の金沙中国(香港上場、01928)の時価総額は親会社に迫る588億ドルにもなります。
近いうちに金沙中国の価値は親会社を抜く可能性大ですが、親会社に日本事業が組み込まれればまた話は変わってくるでしょう。子会社の金沙中国は日本事業と何ら関係ないものになると考えます。シーザーズ・エンターテインメントの総資産はそのラスベガス社よりも大きいのですが、後で見るように負債が多く、稼ぎ力でも劇的に劣るため、株式市場からの評価は低いものとなっております。
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