大会屈指のゲームメーカーは35歳!
各国のベテラン選手をグループごとに紹介。
開催国ブラジルでは、GKジュリオ・セーザル(34歳)がチームを引き締める。代表でポジションを失う時期もあったが、ワールドカップに向けて見事に復活してきた。4年前を経験している守護神の存在は、攻撃自慢のブラジルでも頼りになるだろう。
クロアチアからは、ダリオ・スルナ(34歳)をあげよう。右サイドからの攻め上がりに特徴のあるサイドバックで、フリーキックやペナルティキック(PK)も得意とする。06年大会の日本戦でもPKを蹴り、GK川口能活に止められたのが彼だ。
メキシコにはラファエル・マルケス(35歳)がいる。かつてバルセロナ(スペイン)で活躍した名センターバックで、昨年終盤に代表へ復帰した。W杯は02年から4大会連続となる。攻撃のスタートとなるパスワークも彼の見せ場だ。
カメルーンはサミュエル・エトー(33歳)が健在だ。全盛時の爆発的なスピードは失ったが、ゴール前での決定力に衰えはない。
【グループB】
前回王者スペインでは、シャビ・エルナンデス(34歳)が相変わらずの存在感を発揮している。華麗なパスワークを身上とするスペインにあって、攻撃のタクトをふるうのがこの背番号8だ。ケガによるコンディションの不良も伝えられるが、クラブと代表で培った重厚な経験は見落とせない。
オランダのロビン・ファンペルシー(30歳)は、キャリアのピークでブラジルW杯を迎える。オランダは守備に不安を残すだけに、得点王を争うぐらいの活躍が求められる。マンチェスター・ユナイテッドでは不本意なシーズンを過ごしただけに、クラブでの鬱憤をブラジルではらせるか。
スペイン、オランダの2強に挑むチリでは、ロドリゴ・ミジャール(32歳)がいぶし銀の輝きを放つ。エースのアレクシス・サンチェス(バルセロナ)が得点機を得られるかどうかも、前回大会でキャプテンを務めたミジャールにかかっていると言っていい。先発でも途中交代でも、チームへの貢献を約束する選手だ。
【グループC】
日本が初戦で対戦するコートジボワールには、アフリカを代表するストライカーのディディエ・ドログバ(36歳)がいる。年齢とともにケガからの回復が長くなり、今大会も体調万全で臨めるかは疑問だ。それでも、ゴール前での圧倒的な存在感で対戦相手の脅威となるだろう。
グループステージ第2戦で日本と激突するギリシャは、ギオルゴス・カラグニス(37歳)がキャプテンを務める。伝統のカウンターサッカーの権化として、ブラジルでもチームを牽引する。
多彩な攻撃を誇るコロンビアが、守備の重鎮として信頼を寄せるのはマリオ・ジェペス(38歳)だ。長身のセンターバックは、最初で最後のひのき舞台に燃えている。
日本では大久保嘉人だろう。6月9日に32歳の誕生日を控えるこの俊敏なストライカーは、Jリーグでの好調さと4年前の経験を武器に、攻撃に貴重なアクセントをもたらすだろう。
【グループD】
今シーズンからJリーグのセレッソ大阪でプレーするディエゴ・フォルラン(35歳)は、ブラジルW杯で注目のベテランだ。4年前の大会MVP&得点王は、ルイス・スアレスとエディンソン・カバーニ(ともに27歳)の攻撃の二枚看板を後方支援する。
経験豊富な選手の多いイングランドからは、キャプテンのスティーブン・ジェラード(34歳)をピックアップしたい。3大会連続となるブラジル大会は、彼にとってキャリアの集大成となる。長短のパスを駆使した攻撃のビルドアップと、高精度の右足ミドルに注目だ。本田圭佑と同じ背番号4を背負うMFとして、記憶しておくといいだろう。
攻撃を司る司令塔では、イタリアのアンドレア・ピルロ(35歳)を見逃してはいけない。上空からピッチをみわたしているかのように、ピンポイントで相手の急所を突くパスは絶品だ。すでに大会後の代表引退を表明しており、華麗なラストダンスを自らに課している。イタリアのゲームでは、背番号21を着けた大会屈指のゲームメーカーから目を離すな!
ウルグアイ、イングランド、イタリアの強豪3か国に取り囲まれたコスタリカは、アルバロ・サボリオ(32歳)に精神的支柱の役割を託す。国際試合出場数、同ゴール数ともに現役最多の彼は、屈強な体躯を生かしたストライカーだ。途中出場が多くなることも予想されるが、苦境に立ち向かう姿勢がチームを鼓舞する。
最大の注目はW杯記録を狙うクローゼ
【グループE】将来性豊かな若手タレントが揃い、史上最強とも言われるスイスを支えるのは、ゴールキーパーのディエゴ・ベナーリオ(30歳)だ。ドイツ・ブンデスリーガのヴォルフスブルクで高い評価を受ける守護神がいるからこそ、攻撃陣は迷いなく才能を発揮できているのだ。
エクアドルのワルテル・アジョビ(34歳)は、マルチな才能を持った左サイドのスペシャリストである。まさかのメンバー落ちとなった06年大会の雪辱を期す。
苦戦が予想されるホンジュラスでは、カルロ・コストリー(31歳)に期待が集まる。イングランドや中国などでもプレーした190センチの長身フォワードは、少ない好機を生かして勝利を呼び込むつもりだ。
フランスのフランク・リベリー(31歳)は、大会屈指のドリブラーとの声価が高い。円熟の境地に達したベテランは、06年大会の準優勝を知る経験者としても頼りにされている。
【グループF】
リオネル・メッシらの攻撃陣がクローズアップされるアルゼンチンでは、右サイドバックのパブロ・サバレタ(29歳)が価値ある働きを見せる。ベテランと呼ぶにはまだ少し若いが、冷静沈着なディフェンスは貫録十分だ。守備に不安を残すチームを、右サイドから力強く支える。
アルゼンチン同様に攻撃力を強みとするボスニア・ヘルツェゴビナは、ズヴェズダン・ミシモヴィッチ(32歳)にゲームメイクを託す。気性の激しさが冷静さの欠如につながることもあるが、2トップを生かすパスワークは華麗だ。
帰化選手を増やしてチーム力をアップさせたイランにあって、キャプテンを任されるのがジャバド・ネクナム(33歳)である。長くスペインのクラブで活躍した実力派で、攻守のつなぎ役を担う。
アフリカの強豪ナイジェリアは、ゴールキーパーのバンサン・エニュアマ(31歳)が最後の砦となる。所属するフランスのクラブで安定した守備を見せ、評価が高まっているなかでのW杯だ。
【グループG】
20代前半の若い才能が台頭著しいドイツに、衰え知らずのベテランがいる。ミロスラフ・クローゼだ。6月9日に36歳の誕生日を迎える彼は、あと1点でW杯通算得点で首位に並ぶ。もちろん、彼の視線は単独トップに向けられているだろう。
クローゼと対戦相手のディフェンダーとのマッチアップでは、ポルトガルのペペ(31歳)が面白い。生まれながらの狡猾さが高さと強さを引きたてる彼は、ポルトガルの守備の中心である。
前回8強のガーナを牽引するのは、マイケル・エシエン(31歳)だ。本田が所属するACミラン(イタリア)でプレーする彼は、ボールを奪い取る力と展開力を持った攻守の要である。
アメリカのゴールマウスに立つティム・ハワード(35歳)は、サッカーの母国イングランドで実績を重ねてきた。圧倒的なまでの存在感で、クローゼやクリスティアーノ・ロナウドに立ちはだかる。
【グループH】
欧州でもタレント軍団として名高いベルギーで、センターバックのダニエル・ファンバイテン(36歳)は02年大会の経験者だ。日本戦にも出場している。チームに精神的な落ち着きをもたらす存在である。
このグループで劣勢が予想されるアルジェリアは、マジド・ブゲラ(31歳)の統率力が頼りだ。センターバックとして守備をまとめ上げ、強豪から勝点を奪えるだろうか。
ダークホースのロシアも、ベテランのセンターバックが守備の中心となる。セルゲイ・イグナシェヴィッチ(34歳)だ。かつて本田が所属したCSKAモスクワのディフェンスリーダーで、右足のパワフルなフリーキックも持ち味である。
アジア代表の韓国からは、朴柱永(パク・チュヨン)をあげたい。28歳にして3度目のW杯に臨む彼は、国際舞台で豊富な経験を持つ。チームの得点源の重責も担うこの男の爆発なしに、韓国の上位進出は考えられない。