誰が振付けるの?
世界トップレベルの選手たちのほとんどは、「振付師」にプログラムづくりをお願いしています。ローリー・ニコル(浅田真央の『ノクターン』や『Smile』、高橋大輔の『ビートルズ・メドレー』)やデイヴィッド・ウィルソン(羽生結弦の『ロミオとジュリエット』、キム・ヨナの『アディオス・ノニーノ』)など、名前を耳にしたことのある振付師もいるでしょう。ニコルやウィルソンのような専業の振付師は、表現の幅や方法をたくさん持っていて、様々なジャンルの曲も知っています。芸術面で多くのことを熟知しているだけでなく、シーズンごとに変わるルールにも精通しています。
以前カロリーナ・コストナーが「振付けとは、私の思いや感情をプログラムに反映させる、とてもプライベートな作業なんです。何年もローリー(・ニコル)と一緒にやっていることで、年々その繊細さが積み上がってきていますね」と言っていたことがあります。何年も同じ振付師と組むスケーターが多いのは、波長の合う振付師とともに毎年経験や感覚を積み上げていくことで、お互いに想像していた以上のプログラムが生まれる喜びや達成感を味わえるからでしょう。
また、自分のキャラクターにぴったりと合っていたプログラムが好評を得た後に、まったく違う印象のプログラムを求めて、別の振付師と組むこともよくあります。2年ほど前に高橋大輔は「現役は残り数シーズンだから、やってみたいと思うことはすべてやりたい。(それまで組んだことのなかった)ローリー(・ニコル)にプログラムを振付けてもらいたい」(当時は、「(引退しないで)ソチ五輪まで現役続行する」と宣言した頃)と話していました。そしてそのとおり、2013-14シーズンのフリーは、ニコル振付けの『ビートルズ・メドレー』となりました。のびやかで、強くて、やさしさにあふれたプログラムを、すぐに思い出せる人も多いことでしょう。