「最も身近な社会」からとっかかりを
今回は「社会の理解」の出題を振り返ります。制度の内容や統計調査の結果などを頭に入れておかなければ回答が難しく、「最も苦手」とする受験者も多い科目です。苦手意識をもってしまうのは、「暗記しなければならないから」「制度は難しく、遠いもののように感じるから」といった理由があるでしょう。
そこで、私たちの「最も身近な社会」ともいえる「地域」に関することから勉強を始めてみるのもいいでしょう。
地域福祉とは、「ここにずっと住み続けたい」と思える社会づくりを、行政や・専門機関、住民などが協力して全体を形作っていこうとするもので、近年、地域福祉の大切さがクローズアップされています。
第26回試験でも、地域福祉に関する問題が出題されていますので、振り返っておきましょう。
「市長村における社会福祉に関する計画として、正しいものを1つ選びなさい」という問いで、選択肢は以下の通りです。
1 老人福祉計画は、その市町村内に老人福祉施設がなければ、策定しなくてもよい。
2 障害者福祉計画は、18歳以上の障害者を対象としていて、障害児を含まない。
3 介護保険事業計画は、第1号被保険者の保険料の設定に関与している。
4 地域福祉計画は、市町村社会福祉協議会に策定が義務づけられている。
5 障害福祉計画は、具体的なサービスの量を設定しない。
正解は3です。介護保険事業支援計画は、介護サービスの整備計画で、各市町村の第1号被保険者に係る保険料の算定の基礎となる計画です。
1について、老人福祉計画は老人福祉法に規定されており、市町村は老人居宅生活支援事業及び老人福祉施設による事業の供給体制の確保に関する計画(市町村老人福祉計画)を定めるものとするとされています。
2について、市町村障害者計画は障害者基本法に規定されおり、障害児も対象となっています。
4について、地域福祉計画は社会福祉法に規定され、都道府県と市町村が住民の意見を十分反映させて策定するもので、市町村社会福祉協議会が策定するものではありません。
5について、障害福祉計画は障害福祉サービスなどの提供体制及び自立支援給付などのの円滑な実施を確保することを目的として作成されるもので、各年度における指定障害福祉サービス、指定地域相談支援又は指定計画相談支援の種類ごとの必要な量の見込みを行うこととされています。
次のページでは、最近の介護の業界のトレンド用語となっている「地域包括ケアシステム」の問題を紹介します。