介護福祉士が一番大切にしてほしいこととは
「介護職に向いている人ってどんな人?」と聞かれ、「優しい」や「世話好き」といった要素を差し置いて、私が真っ先に答えるのは「自己覚知ができる」人。自己覚知については、「介護福祉士試験に向けて2」で触れているので、忘れてしまった人は再度確認を。私が以前講演した際、「太っているし、がさつだし、利用者さんに嫌われているのではないかと不安で…」と発言して下さった看護師の方がいらっしゃいました。その言葉に私は「太っているということはさておき、自分ががさつだと自覚されている。不安を抱かなくても大丈夫では」と答えました。
さて、第26回介護福祉士試験でも、この「自己覚知」に関する出題がありました。
「自己覚知のために、最も重視するものを1つ選びなさい」という問いで、選択肢は以下の通りです。
1 自分の感情の動きとその背景を洞察する。
2 自分の将来の目標を設定する。
3 自分中心でなく、他者中心に考える。
4 自分を肯定的にとらえる。
5 自分の価値観に基づいて行動する。
「自己覚知」は、自分の将来の目標を設定したり、自分を肯定的にとらえることではなく、ましてや、利用者を無視して自分の価値観に基づいて行動することでもありません。正解は1ですね。
認知症の利用者にあなたならどう答える?
さて、今回は「人間関係とコミュニケーション」の科目からの出題をとりあげていますが、次の問題では、じつは現場ではよく見受けられる、利用者さんと介護職とのやりとりなのです。さっそく、問題をみてみましょう。
Bさん(85歳、女性)は、認知症(dementia)がある。ショートステイを1週間利用することになった。1日目の夕方、介護職員が忙しい時間帯に、Bさんは何回も、「私はここにいていいの」と繰り返し尋ねた。
介護職員の最初の言葉かけとして、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 「どこにいきたいのですか」
2 「後からゆっくり聞きますね」
3 「同じことを何回も聞かないでください」
4 「ここにいてくださっていいですよ」
5 「ここにじっとしていてください」
みなさんが、実際にBさんと接している介護職員だったら、どんな受け答えをするのか考えてみてください。
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