小瀬村真美さんの映像作品だけでなく、現代アートの映像作品は、置かれた空間をうまく取り込んで、場所全体を作品と見なす「インスタレーション」と呼ばれる形態を取っています。画面に映る映像だけを味わうのではなく、体全体で空間を楽しんでみる、それがインスタレーションの鑑賞方法です。
映像作品の魅力は「実体のなさ」
大学時代は油絵も描いていた小瀬村さんは、「映像作品の一番の魅力は『実体のなさ』です。絵画であれば絵具、立体作品のであれば木や金属、というような『具体的な物』が必要ですが、映像作品はそういったものを必要としないところが、頭の中の出来事を表現することに適していると感じます」と言います。
テレビでも映画でも、映像を見ていると自分の目の前で起こっているように感じたり、過去の記憶と混同することがありますよね。こうした人間の感覚に訴えつつも、幻影という儚さのある「映像」に、小瀬村さんは魅力を感じているそうです。
作品の制作するとき、小瀬村さんは他人が見ても分からない数列やク?ラフも書いていきます。そして花や人物などの実物を撮影した映像や写真をパソコンで加工しながら、イメージを少しずつ固めていきながら、作品をつくっていきます。