日本建築の特徴
近年、純和風スタイルの家は少なくなりました。また、一戸当たりの敷地面積も小さくなり、美しい和風住宅は見られなくなりました。ただ、外観は洋風であっても、和室を一部屋つくったり、リビングとのつなぎで畳コーナーなどを設けている家も比較的多いのではないでしょうか。現代の家は耐震性を増すために壁を多くします。したがって、以前のような開放感のある、内と外との関係性が薄れています。ただ、敷地が狭くとも広縁や濡縁などを上手く取り入れて、庭との関係性を豊かにすることは可能です。広縁・濡縁・ウッドデッキはどう違うの?
そもそも最近は縁側は知っていても、広縁とはどんなスペースですか?と聞かれることが多くなりました。もう一度、広縁、濡縁、ウッドデッキ、この3つの違いを理解しておきましょう。・広縁・・・幅の広い縁側
・濡縁・・・雨戸の外に張り出した縁側
・ウッドデッキ・・・居間やダイニングなどの前庭に木材を組んで作られた開放的なデッキ
縁側も今や、やや懐かしい言葉になってしまいましたが、内と外を結ぶ極めて曖昧な空間として重宝されていました。日向ぼっこや接客、物干し、収納など実に多用途に使うことが可能なスペースです。現代の家は機能的ではありますが、多用途に使えるスペースがないのです。
広縁・濡縁を活かすポイント
ウッドデッキはやや大きなスペースを必要としますが、広縁や濡縁は小さなスペースを見つけ、そこに楽しさや豊かさを見つけることです。1.敷地全体を把握する
建物と敷地境界までの距離を確認、北側斜線で北側のスペースが空いていないか、そこをどう利用するかなどを検討する。
2.敷地と道路の関係
玄関までのアプローチ、アプローチと庭との関係、アプローチから広縁を見せ、次なる空間に対する想像を膨らませる仕掛けや、演出を検討する。
3.広縁と濡縁をふれあいの場とする工夫
家族や隣近所の人たちのコミュニケーションの場を考える。
4.広縁と濡縁の幅や地面の高さを考慮
ウッドデッキなどは居間やダイニングなど、室内の高さと同じにします、広縁や濡縁ももちろん室内と同じ高さでもよいのですが、逆に地面に近づくよう低くすることで、庭との一体感を図ることもできます。
5.広縁、濡縁の演出を考えた建具のデザイン
広縁、濡縁は、内外をつなぐ装置ではありますが、室内から建具を通して豊かに絵的に見せることで、外(自然)を意識させてくれます。建具の開閉方法なども考慮することです。