グループCは予測不可能?
1位)コロンビア2位)日本
3位)コートジボワール
4位)ギリシャ
<日本が内包するふたつの不安>
日本が戦うグループC。その行方やいかに。
約1か月半後に開幕を控える現在も、4か国の力関係に大きな変化はない。予想をするのが非常に難しいグループだ。
日本の対外的な評価も、決して低いものではない。スペインのある日刊紙は、「日本はすべてのチームに勝利できる実力を持っている」と書いている。
日本、コロンビア、ギリシャ、コートジボワールの4か国が構成するグループCのなかで、W杯最多出場を誇るのは日本とコロンビアの5回だ。連続出場も日本の5回がナンバー1である。
また、W杯が32か国で開催されるようになった1998年大会以降、グループステージを突破したことがあるのは日本だけだ。ベスト16入りとなる2位以内を確保する力は、十分にあると言っていい。
MF本田圭佑(27歳)、長谷部誠(30歳)、遠藤保仁(34歳)、岡崎慎司(28歳)、DF長友佑都(27歳)、GK川島永嗣(31歳)らは、ベスト16入りを果たした4年前も中心選手として活躍した。W杯の経験値では、日本が一歩リードする。コートジボワールとの初戦を引き分け以上で乗り切れば、2位以内確保に大きく前進する。
現時点でチームが抱える不安はふたつある。
ひとつはキャプテン長谷部のケガだ。今年1月に右膝の手術を受け、一度は戦列に復帰したものの3月に再発してしまった。
順調に回復すれば、ブラジルW杯には間に合う。ただ、最後にピッチに立ったのは、昨年12月21日のリーグ戦までさかのぼらなければならない。W杯にふさわしい試合感覚を、どこまで取り戻すことができるか。精神的支柱でもある長谷部のメンバー入りは確実だが、アルベルト・ザッケローニ監督は成長著しい山口蛍(23歳)のスタメン起用も視野に入れているかもしれない。
ふたつ目の不安は柿谷曜一朗(24歳)だ。アジアのクラブチームが争うアジアチャンピオンズリーグでは得点を重ねているが、J1リーグでは8試合を終えて無得点なのだ。
4-2-3-1のシステムで「3」を担う本田、香川、岡崎らの躍動は、1トップの頑張りが大前提となる。それこそは、柿谷の復調が待たれる理由だ。もちろん、彼自身の得点力も魅力的である。メンバー発表前のリーグ戦5試合で、昨シーズンのような勢いを取り戻したい。
<主砲不在を感じさせないコロンビア>
グループ首位に予想したコロンビアは、1月に主砲ファルカオ(28歳)が左膝靱帯損傷の大ケガを負った。世界屈指のストライカーの出場が絶望的となったことで、コロンビアの行く手に暗雲が漂ったかと思われた。
ところが、エースの不在でスタメン昇格が見えてきたストライカーが、ハイレベルな競争を繰り広げている。マルティネス(27歳)、バッカ(27歳)、ラモス(28歳)の3人が、所属クラブで得点を量産しているのだ。彼らにチャンスを供給するクアドラード(26歳)やロドリゲス(22歳)も、高いパフォーマンスを維持している。
W杯のグループステージでは、ロースコアの攻防が少なくない。ワンチャンスを確実に生かす戦いが求められる。決定力の高い選手を揃えたコロンビアは、ベスト16進出の条件を備えているのだ。
<国民的英雄に代わる新たなエースが登場か>
コートジボワールと言えば、36歳のドログバが有名だ。国民的英雄として、絶対的得点源として、彼は長くチームに君臨してきた。だが、ここ最近はケガに悩まされている。
代わって期待を集めるのはボニ(25歳)だ。昨シーズンは日本代表ハーフナー・マイクと同じフィテッセ(オランダ)でプレーし、リーグ得点王に輝いたFWである。今シーズンはイングランドのクラブへ移籍し、ここでも2ケタ得点をマークしている。
ワンチャンスを生かすという意味で、コートジボワールはコロンビアに比肩する決定力を持つ。ドログバの名前が先発になくても、決して侮ることはできない。
<予選突破の立役者が不振に喘ぐギリシャ>
コロンビア、コートジボワールとは対照的に、ギリシャはチームの得点源が試合に絡めていない。W杯欧州予選突破の立役者となり、今年1月にイングランドのクラブへ移籍したミトログル(26歳)が、ケガと戦術的理由でスタメン落ちの憂き目にあっている。
ミトログルの調子が上がってこなければ、33歳のゲカスがスタメンに浮上する。だが、すでにピークを過ぎたベテランだ。安定感はあるものの、爆発力には欠ける。苦しい戦いは避けられないだろう。
”死の組”となったグループD
1位)イタリア2位)ウルグアイ
3位)イングランド
4位)コスタリカ
今回のW杯で“死のグループ”を選ぶなら、間違いなくグループDになる。W杯優勝経験を持つイタリア、イングランド、ウルグアイが同居したのだ。
3か国のサバイバルは、格下コスタリカとの戦いが左右する。勝点3はもちろん大量得点奪取で他国にプレッシャーを与えたい、との思惑は3か国に共通する。
となると、ストライカーの出来が各国の命運を握る。
イタリアはバロテッリ(23歳)、ウルグアイはスアレス(27歳)、イングランドはルーニー(28歳)と、どの国も実力と実績を兼備したFWを擁する。ただ、ルーニーへの依存度が大きいイングランドは、攻撃の総合力で2か国にやや見劣りする。僅差の攻防が繰り広げられながらも、最終的にはイタリアとウルグアイが勝ち抜くと予想する。
グループEの見どころは2位争いに
1位)フランス2位)スイス
3位)エクアドル
4位)ホンジュラス
フランスが頭ひとつ抜け出たグループEの見どころは、スイスとエクアドルによる2位争いだ。セフェロビッチ(22歳)、ジャカ(21歳)、シャキリ(22歳)ら、若き俊英が攻撃陣に並ぶスイスか。バレンシア(28歳)とモンテーロ(24歳)のサイドアタックが鋭いエクアドルか。グループステージ初戦で実現する両国の直接対決は必見だ。
フランスの優位は動かない。攻撃の柱となるリベリ(31歳)に加え、21歳のボグバがブレイクしてきた。4年前のような内紛を避けることができれば、グループステージはさほど苦労せずに勝ち抜けるだろう。
次回の更新分では、グループF、G、Hの最新情報をお伝えする。